110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

〈日本人〉の境界(小熊英二著)

本書は新曜社1998年初版刊行のもの。

最近、読書速度が遅くなった、しかも、分量のある本なので、何日も掛けてやっと読み終えた。

まぁ、小熊英二の本は読んでおいて損はない、本書でもそれを再確認した。

現在も、根強く、韓国や北朝鮮(中国もそうかな)を非難する言説がわが国にはある、しかし、本当に一方的に排斥できるのかというとどうだろう?

変な話、例えば、Yahooに掲載された記事に対する、バッシングのコメントなら字数がそれほど多くは書けないはずで、そういう、言論が狭く規定されたところでは、却って、極端な意見が言えるのではなかろうか?

もし、あなたのコメント投稿について、例えば、韓国のバッシングは気のすむまでやってもらっても構わない、ただし、折角なので、最低でも10万語分かけて、詳細な論理展開をして欲しい・・・なんてことになったらどうだろう。

「韓国くたばれ」を1万数千回くらい繰り返すと、10万語になるが、これでは、誰が読んでも、筆者は、感情的なだけで理屈はないと判断されよう。

だから、詳細に書けば書くほど、良心にしたがって書けば書くほど、中庸になってくる、逆に、感情に任せておけば、紋切り型の極論になる。

政治の世界では、どうしても、極論を提示しなければいけない場合(時勢)もあろう、しかし、市井の者どもは、中庸な思想で十分ではなかろうか?

そして、それが、一番理性的なポジションであるのではないかと思うのだ。

だから、翻って考えて見ると、簡単に極論が乱れ飛ぶ今の日本はとても恐ろしい世間だと思うのだ。