水の文化史(富山和子著)
本書は昭和55年文藝春秋より刊行のもの、私は、平成2年刊行の文春文庫版を読む。
子ども向けの「川は生きている」「道は生きている」「森は生きている」の3冊を読んでから気になる著者となった。
読む人によっては、自然を保護する考え方が違うとして嫌いな方もいるだろう。
川、森、土(壌)の自然が用意した3つの要素を上手く組み合わせることで、自然をより有効に利用できるだろうという考え方(歴史的に先人が行っていた自然への対応のしかた)は共感するところが多かった。
しかし、ダムを作ることによる水の確保や、林業の人手不足から、森の維持ができなくなること、土壌の持つ浄化機能や保水機能を使わないようにすること、すなわち、自然が長年かけて作り上げたサイクルを無視することで、今の人間社会は成立しているというのだ。
まぁ、そういう各論の評価をとりあえず棚上げしても、現在の天候が明らかにおかしくなっていることは、都市部に住んでいる私にも、あきらかに実感することができるようになった。
だから、本書の様に自然との共存関係を見直そう・・・という批判は、本書の刊行が昭和55年(1980年)であることで諦めた。
まぁ、私の先行きも残り数十年なので、現在の英知が人工的に上手く地球環境を調整できるような技術を開発されることを、ただねがうことにしようかと思う。
(どちらかというと、仮想世界の方へ行きそうだけれどもね)
たぶん、人類はあたらしくバベルの塔を築くことだろう、例えば、昨年の台風の洪水で浸水したからと、もっと強力で高い堤防を築いてこれに対抗しようとするだろう、もし、もっと大きな台風が来て洪水が起これば・・・さらに強い堤防を作ろうとするだろう、もう少し高台に住環境を移動してしまえば良いのにね?