日本文化の形成(宮本常一著)
本書はちくま学芸文庫版で読む、オリジナルは1981年に「そしえて」から刊行された。
宮本常一が凄いという事は、鶴見俊輔の対談本かなにかで知った。
「日本残酷物語」というのも宮本氏が監修者の一人に加わっているので、とりあえず、平凡社ライブラリーの第一巻だけ持っているが、未だに読んでいない。
本書は著者の晩年の講義と遺稿を編集したものだが、生きてこの先を書いて欲しかったと思わせる内容である。
昨今、日本は没落しつつ、どこに行こうとしているのか、わけがわからない状況の中、本書の様に、日本の起源をさぐることはとても重要な事の様に思える。
本書を読むと、日本の文化の形成には、大陸の影響が大きい事が指摘されている。
しかも、日本の柱ともいえる、天皇制すら、大陸からの渡来者が作り出したものと考えてもおかしくない。
今もって、自分として答えが出せない問題に「新元号」があった、何故「令和」という元号は、今までの元号の決め方と異なるのか?
翻って、問題を改題すれば、何故、元号は中国由来なのか?
昨今、日本人のアイデンティティを強調して、日本の没落を言葉で糊塗しようとしている発言が政治家などから発せられるが、そのとき、古くから伝わる天皇制を讃頌することがあるのだが、天皇家はいったいどこから来たのか?そして、何故、元号が中国由来なのか・・・と考えると、今回の元号制定は、もしかすると、やってはいけないことをしたのではないかと思えてくる。
逆に考えれば、真の意味で、天皇家は象徴になったという事を明確にするために、このような措置を取ったとも言える。
それなら、自分に都合のいい様に政治的に利用などせずに、天皇制自体を廃すれば本当は良かったのではないのかな?
斯様に思うのは、鶴見俊輔の影響ではある。