山片蟠桃・海保青陵
中公バックス日本の名著23は山片蟠桃・海保青陵であった。
本書の奥付を見ると、昭和59年(1984)刊行となっている。
このシリーズの特長は、現代語訳してあることにつきる、原書は私には読めないであろう。
そして、当初は山片蟠桃に興味があって手にしたのだが、海保青陵の著作も非常に面白いことを知った。
何が面白いかというと、この2者ともに現代の状況を彷彿とさせる著作をあらわしていることだ。
徳川の時代は平和の時代であり、それが長く続くことで、時代が停滞したきた。
財政的に困窮してきた藩も現出し、山片蟠桃は商人の立場から、藩財政立て直しのコンサルタントをしている。
当然時代も違うので、単なる似たような事象だと言えばその通りだ、しかし、戦後の一時期は隆盛を誇った時期もあったが、その後は停滞を続け、あげく財政赤字を積み上げ、国民の中には言い知れぬ倦怠感が漂う状況は、なんとなく共通項があるように思うんだよね?
そして、江戸時代はご存じのように明治維新へと移行するわけだが、さて、令和私たちはどうなるんだろう?
まぁ、参考にならないかもしれないけれども、こういう時代に生きた知識人の見解を読んでみるのも面白いと思うし、私はとても楽しい時間を過ごせた(読み終わるまでには結構な日数が掛ったのだが・・・)。
誰か、山片蟠桃・海保青陵など、江戸の知識人を現代に投影してみるということをやる人はいないのかな?
停滞した時代を抜け出る方法はなにか・・・とかね?