110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

実際に介護しなくとも良い・・・本当か?

夫と義父母の3人殺害、一人で介護の妻に懲役18年判決…相次ぎタオルで首絞める
1/5(火) 15:33配信 読売新聞オンライン
 福井県敦賀市の自宅で、介護していた夫と義理の両親の3人を殺害したとして、殺人罪に問われた岸本政子被告(72)の裁判員裁判で、福井地裁(河村宜信裁判長)は5日、懲役18年(求刑・懲役20年)の判決を言い渡した。
 起訴状によると、岸本被告は2019年11月17日未明、自宅で義母の志のぶさん(当時95歳)、義父の芳雄さん(同93歳)、夫の太喜雄さん(同70歳)の首を相次いでタオルで絞め、窒息死させたとされる。
 岸本被告は16年頃から3人の介護を一人で担い、適応障害を発症。介護の負担を裁判員らがどう評価するかが焦点となっていた。 

このコメントで弁護士、佐藤みのりさんのコメントが気になった。

3人殺害となると、検察官としても死刑の求刑もあり得たところ、介護を一人で担っていたという事情をくんで、懲役20年の求刑にとどめたのだと思います。
民法上、夫婦や、親子孫…などは「扶養義務」を負うとされていますが、それは実際に「介護をしなければならない」という意味ではなく、あくまで経済的な支援のこと。法律で介護を強いれば、今回のようなことが起こりかねないからです。
高齢社会を迎え、介護の負担を主に家庭に求めるのは限界です。誰もが気軽に介護サービスを受けられるよう、社会で支えていかなければならないと感じます。

ひとつ目の気になったところは「実際に介護をしなくても良い」という見解ですが、経済状況などその家族が最悪の場合は、国が面倒を見るというような意味を含んでいるようにも思うのですが、厚労省はいまのところ家族による介護を奨励していることから、佐藤弁護士の法的な解釈と国の方針は矛盾しているように思えることです。

また、上の引用のすぐ後に出てくる、扶養義務とは「あくまで経済的な支援のこと」とあり、それは、資本主義的・現代的な考え方だと思うのですが、介護費用の経済的負担がきちんとできるだけのお金とはいくらなのでしょう?

介護保険という制度があり、認定されれば、実際の費用の1割などで介護補助を受けることができますが、その認定の評価が(財政的な理由から)厳しくなっているところがあるのは、10年以上介護をしている私の実感ですし、それではすべての介護の補助にはなりません。

随分前ですが、家政婦を雇うといくら掛かるか質問をしたことがあるのですが、そのときは月40万円という回答でした、当然、24時間勤務ではないでしょうし、お休みもあるでしょう、24時間体制でとなると、現実的には、施設へ入所してもらうという選択肢となるでことしょう。

しかし、その施設の選択が難しいと言われています、とにかく安いところを選んだために悲惨な介護をされるのを見てみぬふりができるかどうかは、まぁ、その介護者の人間の強さです。

そして、月額がそこそこ高いから、介護の品質が良いかどうかは不明です、(そこそこの金額の介護施設で、介護士に入所者が殺されるという事件がありましたよね)ですから、場合によっては、一旦、施設から戻したりできる体制を考えるのが望ましいのですが、実際にはどうでしょうか。

そういう面から判断すると、介護の問題は非常に難しい問題だとも言えますが、基本的には、家族に任せる方が国としても有利ですし、それだけのお金を持っていない人には、選と択の余地すらない厳しい事情があると考えられます、そして、家族がした方が介護としての質が高い場合も多いと思います。