110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

WTO判決…その後

WTO判決「日本産食品は安全」の記載なし 政府と乖離
4/23(火) 5:00配信 朝日新聞デジタル
 韓国による東京電力福島第一原発事故の被災地などからの水産物の全面禁輸を事実上容認した世界貿易機関WTO)の判断をめぐり、日本政府が第一審の判断を根拠に説明している「日本産食品の科学的安全性は認められた」との記載が第一審の判決文にあたる報告書にないことがわかった。
 国際法の専門家から「無理のある説明だ」と報告書の内容との乖離(かいり)を指摘する声が出ており、「身内」なはずの経済産業省所管のシンクタンクも問題視するリポートを出した。
 この紛争は、韓国が2013年、事故を起こした福島第一原発から汚染水が流出しているとして、福島など8県の水産物の禁輸対象を一部から全面に拡大したことに対し、日本がWTO協定に違反しているとして提訴した。
 紛争を処理する上級委員会が11日、韓国の禁輸を「不当な差別」とした第一審・小委員会の判断を破棄する報告書を出した。日本の事実上の逆転敗訴だが、菅義偉官房長官は12日の記者会見で「敗訴の指摘は当たらない」と強調した。理由として、上級委が日本産食品の安全性に触れていないため「日本産食品は科学的に安全であり、韓国の安全基準を十分クリアするとの一審の事実認定は維持されている」ことを挙げた。河野太郎外相もほぼ同じ発言をした。
 だが、実際には第一審の報告書には「日本産食品は科学的に安全」との記載はなかった。さらに、第一審は「日本産食品が韓国の安全基準を十分クリアする」と認定していたものの、上級委はこれを取り消していた。「食品に含まれる放射性物質の量だけに着目した第一審の判断は議論が不十分」というのが理由だ。

 汚染水の海洋廃棄など「やむを得ない」との理由で片づけていたのだが、そういうまさに「想定外」の対象について、本当に最近政治家が良く言うところの「真摯」な処置ができたのかは疑問だ。
 それほど放射性物質の管理は難しいし、大量の放射性物資を海洋投棄した場合の長い年月での環境への影響についてのデータは、多分今までに無いはずだ。
 先日報道された、3号機の放射性物質の除去作業さえ、様々な要因から年単位で対応が遅れている上に、今回も予想外に放射線量が高かったような報道もあったと記憶している。
 日本の専門家はこういう議論を一笑に付すかもしれないが、本当に大丈夫なのか?
 私の知る限り、科学はそこまで保証できないはずなのだが…

 現政府は国内の情報管理には法整備も含めて成功しているようだが、却って、海外の目から見ると「尋常ではない」のかもしれない。
 外交が絡む問題に関して、余りに安易な見解を述べる政府関係者をたまに見かけるのだが、果たしてそんなことで良いのだろうか?
 官僚はそれぞれの分野の専門家として、少なくとも対外的に問題のありそうな発言は政府関連の政治家にさせないようにするべきだろう、例え、それが国内のポピュリズムに染まってしまった世論の批判を浴びようともね?
 ただし、その官僚も不適切なやり方でデータを作成しているの場合があるのだが。

 話は少し外れるかもしれない、先日、韓国が日本の新札に対して非難したのを、自国(日本)内のことなんだから関係ないだろうという意見を多数散見した、私も本件が初めての事例ならそう思っただろう、しかし、「支那」という言葉を使うなという中国の申し入れを現実的に受け入れたのは、どこの国であろうか(お札より言葉の方が根が深いよね)?
 だから、本件も「関係ない」では済まないとの見方もできるのではないか?
 だから、中国の先例から判断して、「(今回の韓国の問題はについての対応は)中国が戦勝国だから認めた(しかし、この説明は台湾との関係からどうだろうか)」という風な回答の方が適切とも言えるのではないのか?
 しかし、この説明が新たな火種になることは言うまでもない。

 日本という国があたかも歴史(観)が無く「今」だけ存在しているように振舞っているような気がしてしょうがないのだ。
 原発事故も戦争も沖縄もなにもかも「無かったと思いこもう」としているのでは…