110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

雪国(川端康成著)

本書は岩波文庫版で読む。 冒頭の書き出し「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。・・・」は、国語の試験問題に出るぞと言われて覚えているのだが、肝心の作品の方は(大変恥ずかしいことながら)未読であった。 そして、この著者に格別興味があったわけ…

この三十年の日本人(児玉隆也著)

本書は昭和50年新潮社刊行のもの、私は昭和58年初版の新潮社文庫版で読む。 「この三十年」とは、戦争後三十年のこと、本書では、「若き哲学徒の手記(講談社学術文庫版で読める)」に関わる美談についての検証考察、「同期の桜(軍歌)」の成立について、学…

武士道(新渡戸稲造著)

本書は岩波文庫版で読む、私の入手したは2007年第91刷改版であり、ものすごいベストセラーであることが窺える。 しかし、その内容は現代に投影しがたいものであり、この人気振りとの差異を怪しむものである。 本書に興味を持ったのは、著者がキリスト者であ…

漢文の話(吉川幸次郎著)

本書は1968年吉川幸次郎全集に収められたもの、私は、ちくま学芸文庫版で読む。 私、学生のころは不勉強で、特に国語、古文、漢文などひとつも世の中の役に立たないと思っていたものですからひどいものです。 しかしながら、ちかごろの濫読によって、特に戦…

算私語録(安野光雅著)

本書は、朝日新聞社、朝日文庫版で読む。 著者は画家が生業なのだが、とても理系の芸術家で、本書でも数学エッセイの形をとっている。 数学に詳しい方には物足りないかもしれないが、私、文系のものには思わず理解を超える瞬間がある、 「・・・ニース、カンヌ…

忠敬堂

山手線をぐるりと周回して歩くコースがあり、その際、田端駅付近にこの「忠敬堂」があった、ここは古地図を扱っており、店名は伊能忠敬に由来しているものだと思う。 現在、4000万歩を目標に歩いているのは、井上ひさし著「四千万歩の男」で取り上げられた伊…

やっとこ訪問者が20000件

最近は、自分の読書の備忘録状態ですので、のろのろと進捗していましたが、やっと訪問者数が20000件となりました。 それでは、これを記念して・・・・うーん、何かやるべきかな? 景気回復を祈願して、坂東三十三観音を再び巡るかな? どうしよう。

百年分を一時間で(山本夏彦著)

本書は文春文庫版(平成12年)を読む。 山本夏彦の著作はどれを読んでもよいが、その真意は本当に理解できるものなのか? 俺は馬鹿だと心底思えるには、本当に馬鹿にならなければならない。 そういう極みがある、しかし、それが戯作のように軽妙に読めてしま…

猪・鹿・狸(早川孝太郎著)

本書は大正15年、郷土研究社第二叢書のうちの一冊として刊行されたもの、私は講談社学術文庫版で読む。 所沢の古本販売会で本書を見つけてすぐに手を出した、それは表題を「猪・鹿・蝶」と間違えて「こんな研究があるのか」と思い込んだからだ、そして、うち…

南京の真実(ジョン・ラーベ著)

本書は講談社1997年刊行のもの、現在は講談社文庫版もあるようだ。 南京の大(虐殺)について、当時、南京在住の著者が中国人を保護しながら体験した事(日記)をもとに編集された著作である。 本書を一読してから、「南京の真実」で検索をすると賛否両論様…

時間はどこで生まれるのか(橋本淳一郎著)

本書は集英社新書(2006年初版)で読む。 物理学者の書いた時間論であり、とても分かりやすく読みやすい。 時間は、素粒子というミクロな世界では存在せず、原子がある程度の数集まったマクロな世界にのみ存在するものであるとする。 また、時間について本書…

僕が2ちゃんねるを捨てた理由(ひろゆき著)

本書は扶桑社2009年刊行のもの(扶桑社新書)。 この著者には、漠然とした偏見を持っていたが、本書を読んでそれが氷解した。 本書の中で、著者と編集者の対談という形で、編集者の杉原氏は著者について「悲観的、そしてロジカル」だとするが、これは、ある…

木(幸田文著)

本書は新潮文庫版で読む。 まずこの著者の文体はとてもすてきだ、それは多くの読者が認めていることだ。 そして本書は「木」について書かれている、この著者の手にかかると、木を通して人間の生老病死が窺えるのだ。 ひとりよがりな思い込みから「木」のこと…

至福の時

昨日、秩父から自宅へと恒例の歩きをしていると、丁度飯能でBOOKOFFがあるのに気づいた。 この黄色(最近はオレンジもある)の看板を見ると、本を漁るという条件反射が形成されつつある。 ということで入ると「本日文庫本200円」とある。 早速、ちくま学芸文…

反哲学的断章(ヴィトゲンシュタイン著)

本書は青土社1981年刊行のもの。 著者は天才的な哲学者だが、本著は気軽に読める、しかし「わたしの文章は、すべて、ゆっくりと読まれるべきだ」という著者の指摘に沿うことができなかった、思いのほか早く読んでしまったのだ。 本来は、著者の主著を読みつ…

「ゴッtド」は神か上帝か(柳父章著)

本書は筑摩書房1988年刊行の「ゴッドと上帝-歴史のなかの翻訳者」を改題し、岩波現代文庫版化(2001年)したもの。 この著者は「翻訳の思想(ちくま学芸文庫)で虜になった。 基本的には、翻訳におけるそれぞれの言語の差を追求するものだが、その小さな(…

多読術(松岡正剛著)

本書はちくまプリマー新書版(2009年初版)で読む。 私としては新しい本であるがこれも古本である、世の中の新陳代謝の激しさにとまどうところもあるが、まぁ、リーズナブルに私の手元に来たことは、僥倖ではある。 著者の読書の凄まじさはどなたもご存知の…

古典落語(興津要編)

本書は、講談社文庫版で読む、どうも最近講談社学術文庫版で出ているようだが、きちんと確認していない。 また、今のところ、古典落語(上下巻)を読んだまでで、実は、続、続々と続くのだ、すなわち、それほど(落語とは)奥行きの広い世界なのであろう。 …

2010年10月までの累計

2010年10月までの累計歩数は、34,371,867歩で達成率は85.9%となります。 前半は好調に歩数を伸ばして楽勝かと思いきや、最後の4日間に台風が接近するという予想外の事態となりましたが、月末は何とか天気ももって、この1ヶ月としては満足して終えられたと思…

翻訳の思想(柳父章著)

本書は1977年平凡社刊行のもの、私はちくま学芸文庫版で読む。 最近の古本の購入の傾向として、講談社学術文庫やちくま学術文庫などの古いものが安価に棚に並ぶことがあり、その瞬間、先入観を持たずに買っておくということをやっている。 それが、あとで読…