110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

<戦前>の思想(柄谷行人著)

本書は1994年文芸春秋社より刊行のもの、私は講談社学術文庫版(2001年初版)で読む。 少し前に「言葉と悲劇」を取り上げたが、本書も同様に講演集となっている、内容的には政治的な面が濃く出ているように思う。 そして、本書を読んでいて、以前より考えて…

奔放な読書(ダニエル・ペナック著)

本書は、藤原書店1993年刊行のもの、とある古本屋で見つけたとき「藤原書店って思想系の著作を良く出しているよなぁ・・・・」というイメージだけで購入。 本書は、「本嫌いのための新読書術」という副題が示すように、どうすれば本を読む子供(そして大人)を育…

言葉と悲劇(柄谷行人著)

本書は1989年第三文明社より刊行されたもの、私は講談社学術文版(1993年初版)で読む。 この著者の作品は久しぶりに読む、今まで読んだ本は、内容について曖昧な点を残しながら読んでいたが、本書は講演集という形なので全体的に内容がわかりやすく、氏の思…

詩人 与謝蕪村の世界(森本哲郎著)

本書は昭和44年至文堂刊行のもの、私は講談社学術文庫版で読む。 本書は、途中まで読んでは中断し、随分長い時間を掛けて読了した、文章が読みにくいという感じではないのだが何故だろうか? そして、最後に気づいたのは、本書の題名であり、何故「詩人 与謝…

哲学概説(桂壽一著)

本書は東京大学出版会刊行のもの。 もし、古典的な哲学書をこれから読もうと思ったいるならば、本書は丁度良いオリエンテーションになるのではないだろうか? ちなみに、本書の構成は、第一部が「哲学概説」として、 第一章 哲学とは何か 第二章 知識の問題 …

手品師の帽子(安野光雅著)

本書は昭和51年堂心社刊行のもの、私は新潮文庫版(昭和60年初版)で読む。 本書を目にしたのは、昨日BOOKOFFの105円コーナーであり、すごく気持ちが落ち込んでいた。 それは、私の両親が老い、たった一瞬の事件でその生活が不自由になる様を見たことだ。 そ…

田中好子さん逝く

ご冥福をお祈りします。 往年のファンだったわけではないのですが、何か感慨深いものがあります。 年代が近いからかもしれませんね。 元キャンディーズのメンバーで女優の田中好子さんが21日、乳がんのため亡くなった。55歳だった。2月に体調が悪化し、東京…

星の王子さま(サンテグ・ジュベリ著)

本書は集英社文庫版で読む。 この年になって本書をはじめて読む、たかが童話ではないのかと思っていた、しかし、宮沢賢治の著作がそうであるように、グリム、アンデルセン、ペルーの童話集がそうであるように、童話は読みやすい反面奥が深い。 そして、本当…

日本語の問題

私が時々管首相に疑問を投げるのは、くだらないことと受け止められようが、日本語の問題なのだ。 首相は「最後まで被災者の生活再建に向けて、支えていくのが政治の役割だ。全身全霊、持てる力を全て出し切って取り組む」と改めて決意を示した。 上記の発言…

青色発行ダイオード(テーミス編集部編著)

本書は2004年刊行のもの。 中村修二氏が青色発光ダイオードを独力で開発したという話は以前より認識していた、それがその後訴訟になりどのように決着したかは追求してこなかった。 本書は、その訴訟について、中村氏の貢献や日亜化学の聞き取りから、それら…

まさに「お上」である。

命令すれば動くという幻想ではないのか? 何だろう、この緊急時にも何か中央の権力を誇示したいのだろうか? 権力に酔っているのだろうか。 市町村が申請窓口とは…東電仮払金に怒る首長 読売新聞 4月16日(土)6時41分配信 東京電力が福島第一原発の事故を受け…

雑感

最近、漠然と考えている事がある、日本国民が棚上げにしてしまったことがらだ。 例えば、第二次世界大戦後の戦争に対する反省「東京裁判」は外から来たものだが、国内ではついにその責任を裁判と言う形で追及することはなかった。そして、沖縄の基地問題、こ…

日本はなぜ敗れるのか(山本七平著)

本書は野生時代という雑誌に1975年から1976年にかけて連載されたもの、私は、角川oneテーマ21版で読む(2004年初版)。 本書のテーマは第二次世界大戦で日本は何故敗れたのかを、著者自身の体験を元にした見解とともに、小松真一「虜人日記」(ちくま学芸文…

過度の自粛とは?

私的な疑問です。 以下の文章から過度の自粛とは、すなわち何かがわかるのだろうか? 菅直人首相は、東日本大震災発生後、国内に広がる自粛ムードが経済に悪影響を及ぼしかねないことから、「過度の自粛」はやめるよう近く国民に呼び掛ける意向を固めた。政…

大局観(羽生善治著)

本書は角川oneテーマ21。 この著者の「決断力」を再読してちらりと紹介したのだが、昨日書店に行くと最近の著作として本書が出版されていた。 これはしまった、早速買って読まねば・・・・ ということで、そういう紹介の仕方です。 著者自身余り意識せずに記され…

知識の理論(ロデリック・M・チゾルム著)

本書は倍風館より刊行された「哲学の世界」シリーズの第4巻(昭和45年初版)のもの。 「哲学の世界」シリーズは、各巻なかなか興味有る内容のものが並んでおり、もし安く手に入るなら全13巻揃えたいと思っているもの。 本書では、知識の理論と銘打って「知る…

集中力(谷川浩司著)

本書は角川oneテーマ21という新書版。 合わせて「決断力(羽生善治著)」も読むと良い。 将棋の世界は特殊な世界、特殊な能力の必要な世界であり、その中で一流の中に居続けることは並大抵のことではない。 谷川氏と羽生氏の著作を読むと有る意味で考えさせ…

哲学十話(務台理作著)

本書は講談社学術文庫版で読む。 最近、日本の哲学者の著作を読むことが増えた、この著者もその一人だ、そして、哲学者として第二次世界大戦を経験した人は、現実と理想について思索を強いられるのではないかと思う(田中美知太郎や鬼頭英一にもそういうイメ…

自動車が走った(中岡哲郎著)

本書は朝日新聞社刊行、朝日選書のうちの一冊。 この著者は「工場の哲学」という本を読んだことで覚えている。 工場にも哲学があるのかという事とともに、工場という言葉が持つ人間の疎外感などについての分析になると「少し左よりの人かな?」という思い込…

哲学以前(出隆著)

本書は講談社学術文庫版で読む。 日本の哲学者は一般に余り目立たないと思うのだが、その著作とともにどんなことをしたのかを追ってみると意外に活動家であったりする、体系的な哲学書を著すということも重要なことだが、哲学者としての生活というのもあるの…

2011年3月までの累計

2011年3月までの累計は、37,628,384歩で達成率は94.1%になります。 2011年3月というのは公私にわたって事件が起きた月です。 公としては大震災がおこりました。 私見ながら、その地震は、今後の日本は今までどおりの方式ではやっていけないことを、私たちに…

告白の哲学(鬼頭英一著)

本書は公論社、鬼頭英一著作集の第八巻(最終巻)。 今の時代、実存哲学もないのかもしれないが、この著者のものは少し毛色が違うようだ、ハイデッガーやサルトルは、実存に対して死を対置させているのだが、鬼頭氏はその「死」そして「無」それ自体を追求し…