110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

星の王子さま(サンテグ・ジュベリ著)

 本書は集英社文庫版で読む。

 この年になって本書をはじめて読む、たかが童話ではないのかと思っていた、しかし、宮沢賢治の著作がそうであるように、グリム、アンデルセン、ペルーの童話集がそうであるように、童話は読みやすい反面奥が深い。
 そして、本当に探して読んでみようと思った要因は、小原信氏の「われとわれわれ(中公新書)」を呼んだ影響に有る。

 実際読んでみると、実に奥が深い、そして考えさせられる。
 そう、現在の大地震後の復興について、私などはマスコミの情報程度しかえられないが、そこに現れる人々、政治家や企業のトップ、官僚等々を見ていると、そこには、本書にある、「王様」、「うぬぼれ男」、「酒飲み」、「ビジネスマン」、「点灯夫」、「地理学者」の姿が見えてくるのだ。
 被災地で実際に黙々と仕事をする「点灯夫」だけではなく、その他の船頭がうようよしている状況は何か滑稽で、本書のように、自分が子供になって大人の世界を観察している様な錯覚を覚えてしまう。

 以上は、くだらないたとえ話と一笑される方もいるだろうが、本書は、かように現在の政治を見る目にも役立ちそうだと思っている・・・が、そうすると、本作の純粋な楽しさを随分犠牲にしなければならないのがいやみだ。

 本書はまぎれもない名作であり、様々な人が、様々な時代に、様々な読み方ができる本、今回、私は、哲学的、そして、風刺的に読んだが、次に読むときがあれば、もう少し穏やかに楽しみたいものだ。