110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

2011-01-01から1年間の記事一覧

岡本一平漫画漫文集(岡本一平著)

本書は岩波文庫版。 今年の最後は気のおけない読書ということで、本書を見て読む。 大戦前の漫画家の第一人者であり、夏目漱石も認めた文章力もあり、その漫画(画)と漫文(文章)で、楽しく時間を過ごす事が出来る。 また、ご存知の方にはつまらない話だが…

雪沼とその周辺(堀江敏幸著)

本書は新潮文庫版で読む。 この著者は1964年生まれだから、最近の小説になる。 雪沼と言う鄙びた地方のとある町を舞台とする人情話であり、気軽に読める本だ。 7つの小編が集まっていてそれぞれ感慨深い、しみじみとした情緒のある作品で感動を覚える。 解…

迷路(野上弥生子著)

本書は、岩波文庫版で読む。 私の読書で小説を読むことは少なかったのだが、最近少し増えていく傾向にある。 それは、読みにくい文章、例えば哲学などが、一概に高尚なものではないと気づいたからでもある。 小説を読んで底に深いなにものかがあると感じるの…

現代政治学入門(バーナード・クリック著)

本書は、講談社学術文庫版で読む、原作は「What is Politics?(1987)」で、本文のみを訳してある。 本書は、英国流政治学の入門書として位置づけられている。 そして、政治を考える上で非常に参考になる、例えば、マキアヴェリ(君主論)に言及し、「緊急事態…

反骨(鎌田慧著)

本書は講談社1989年刊行のもの、私は講談社文庫版で読む。 本書はもしかすると今読まれる本かもしれない、著者は、反骨するもの、鈴木東民の生涯を書いた。 その余りにも進んだ足取りが、当時の人々に理解されないことにより、著者も「無念」であったのでは…

黄(紅)葉と落葉

私の感覚がおかしくなったのならば良いのだが・・・・ 都内のイチョウなど、今頃黄葉そして落葉しているように見えるのだ。 12月ももう半ばを過ぎていると言うのに、何か、胸騒ぎがするのだが、世間では問題ではないのだろうか?

甦る秋山真之その軍学的パラダイム(三浦康之著)

本書は、ウェッジ1996年刊行のもの。 まだ、ビジネスマンとしての自覚のあったころ、本書を入手して読んだ、この本はビジネス書なのだ。 ちょうど20世紀の終わりに掛けて、リストラとかリエンジニアリングという、日本国内では後ろ向きの戦略が華やかな頃、…

曽田正人~昴・MOONの終了

個人的に、曽田正人の漫画が好みだ、それが、つい最近、昴・MOONが終わったので、そのことを書こうと思っていた。 ところが、久しぶりに「シャカリキ」を読んでみると、思いのほかに共通点があることにきづくのだ。 曽田正人は進化したのか? あくまで個人的…

過信は禁物

最近、ひざの調子が悪くて歩くのを控えたりしている。 もしや、ひざの関節が変形しているのではないかと、近くの病院へ行ってみると、ひざの間隔は少し狭いが、軟骨の磨耗はそれほどでもない、との診断。 レントゲンでは骨の状況しかわからないけれどもと、…

東郷平八郎(下村寅太郎著)

本書は講談社学術文庫版で読む。 戦後ほとんど省みられなくなった人に、この東郷平八郎がいるのではないか? それは、当人の諮るところではなく、第二次大戦に関わり時勢が彼を神格化した事、そのことに対する敗戦後の反動であるとも言えるだろう。 しかし、…

マイ・ラスト・ソング(久世光彦著)

本書は、文春文庫版で読む、ちなみに、本書の続編「みんな夢の中」も読む。 本書の意図は、「あなたの最後の瞬間に聞きたい曲は何か?」というお題から、敷衍していった著者の音楽に関するエッセィという形態になる。 そして、著者のラストソングには、子供…

GoogleChrome

GoogleCromeへブラウザを変えてみた。 なるほど、古いPC、そしてXP環境では効果絶大だ。 個人的には、YahooをTOPで利用していたので、気がひけたが関係ないや!!

本当ならば大発見

重力を手玉に取るには、更に時間がかかるのだろうが、その痕跡を理屈でなく、実証でとらえたならば、正に科学的な快挙だと思う。 ただ、形而上の疑問はさらに深まる。 パスカルの言うように、私たちは、宇宙に比べては小さすぎるし、素粒子の世界からは大き…

Carlos Barbosa-Limaというギタリスト

Carlos Barbosa-Limaというギタリストが居ます。 クラシック系なのですが、これがとても良いです。 テクニックは凄いのですが、とりあえず、どう弾いているのかよく分からない、以下の曲などご覧ください。 曲は、皆さんの評価の通りチャーミングです。 この…

新聞記事の・・・

新聞記事の日本語の使い方も最近は良く分からなくなってきた。 これは、私が時代から取り残されたからだろう。 まず、表題は、 京都はきびしい…自転車悪質違反は即「赤切符」 読売新聞 11月25日(金)14時51分配信 内容は、 自転車と歩行者が絡む事故が増えて…

古本雑感

随分前から読み終わった本をExcelに記録している。 ただし、講談社・・・講談社学術文庫のような記載で番号を記入していなかった。 そこで、「近代日本の心情の歴史、見田宗介・・・講談社学術文庫249の」様に、番号を記入することにした。 これは、番号順に並べて…

近代日本の心情の歴史(見田宗介著)

まず、『定本 見田宗介著作集』全10巻『定本 真木悠介著作集』全4巻が、岩波書店より刊行との事です。 さて、本書は講談社学術文庫版で読む、例によって100円の知識だ。 流行歌を通してその時代の人々の心情を捉えようとする、正に副題にある「流行歌の社会…

十六の話(司馬遼太郎著)

本書は1993年中央公論社刊行のもの、私は井筒俊彦氏との対談が附録として掲載された中公文庫版で読む。 本著者の歴史小説は結構読んだと思うのだが、最近は、歴史に関連したエッセーや対談に興味を持つ、それらの文章の中にさりげなく撒かれた言葉から、歴史…

立川談志の死

異端であり続けるのことは天才である証拠であろう。 本音を言うと、この人の落語を好んで見聞しなかったのだが、何故だろうか、生きていて欲しかった人だ。 いや、この人は死なないのではないかとすら思っていた。 <訃報>落語家の立川談志さん死去、75歳…

自転車、徐行なら歩道OK

自転車の規制については、「自転車の法律無視は甚だしいのでこういう措置も仕方が無い」ということで十分ではないのか? さて、歩道上の「徐行」とは、時速何キロだろうか?私見では5km前後であろう。 間違えてはいけない「歩道」上のことなのだから。 まぁ…

断章86~88

断章86は「私の気分は、蛙のようにがあがあ言う人や、息を吹きながら食べる人を、私に嫌悪させる。気分というものもなかなか重みのあるものである。そこから何を学ぶのだろう。その重みが自然だからといって、われわれがそれに従うというのだろうか。いな、…

断章83~85

断章83は「欺瞞的諸勢力の章をここから始めること」という、少し気になる文で始まる。 その背景は「人間は、恩恵なしには消しがたい、生来の誤謬に満ちた存在でしかない。何ものも彼に真理を示さない。すべてが彼を欺く」ということだという。 それは、断章8…

断章82

断章82は比較的長いものだが、この断章の集約は冒頭にある。 想像力。 これは人間のなかのあの欺く部分のことである。あの誤りと偽りの主であり、いつもずるいと決まっていないだけに、それだけいっそうずるいやつである。なぜなら、もしそれが嘘のまちがい…

硬さのおはなし(寺澤正男著)

本書は、日本企画協会の「おはなし科学・技術シリーズ」の中の一冊、だから、理学や工学についての一般読者向けのやさしい解説書なのだ。 しかし、本書を読みながら、哲学と共通の話題を取り上げているのではないかと思ったのだ。 そもそも、硬さとは何か、…

断章80、81

断章80は「びっこの人が、われわれをいらいらさせないのに、びっこの精神を持った人が、われわれをいらいらさせるのは、どういうわけだろう。」という問題提起からはじまる。 そして、再びエピクテトスの言葉を引用する、それは「われわれは、人に頭が痛いで…

断章75~79

断章75は、冒頭の「第一部、第二篇・・・」に続いて「臆説。さらに一段引き下げて、それをおかしなものにすることは、困難ではないだろう。なぜなら、それ自体からはじまれば」という意味がとりにくい一説が入る。 私見では、最後の「それ自体からはじまれば」…

素敵な才能

知らなかった。 アコーステック・ギターを弾いてるのだけれども、テクニックでは適わないと思う人は多数いるのだが、こういう音楽にまで昇華させた人は見た事が無かった。 どうも、日本人らしいがその素顔は一般公開されていないようだ。 一度見て、その音楽…

断章73、74

断章73は、少しやっかいだ。 前半は「しかし、この問題はおそらく理性の範囲を越えているだろう。・・・」と始まる、「この問題」には様々な言葉が入りそうだが、簡単に解答できるものではないだろう、だから「理性の考えだしたことを、その力に応じた事物につ…

冨の未来(アルビン・トフラー/ハイジ・トフラー著)

本書は講談社2006年刊行のもの。 なんというか、サービス業というものがよく分からないなぁ・・・ということで、いろいろ考えていたのだが、そういうことにある解答を与えてくれたのが本書。 農業や工業のようないわゆる実体経済の時代はとうの昔に過ぎ去って現…

科挙(宮崎市定著)

本書は中公新書版で読む。 多数の知識人に中公新書のお勧めのものをアンケートした結果を見たことがある、その中で本書を選んだ人が多かったのだ。しかしながら、この著者と題名から察するに「難しい本ではないのか」という予測が浮かび、そんな難しそうな本…