110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

断章86~88

 断章86は「私の気分は、蛙のようにがあがあ言う人や、息を吹きながら食べる人を、私に嫌悪させる。気分というものもなかなか重みのあるものである。そこから何を学ぶのだろう。その重みが自然だからといって、われわれがそれに従うというのだろうか。いな、われわれはむしろそれに抵抗するだろう。(全文)」
 問題は「気分」の「重み」と「自然」という関係と、「自然」と「神」という関係を上手く処理しなければならないように思う。
 そうしないと・・・・・87へ

 断章87
 五八三。まことに、この人は、大いなる努力をして、大いなる徒言(むだごと)を言うであろう。テレンティウス。
 自分の作りごとに支配される人間以上に不幸なものが存在するかのごとく。プリニウス。(全文)

 福島原発事故も現在のユーロ危機も、この断章に引っかかる。

 断章88
 「自分で塗りたくった顔をこわがる子供たち。彼らは子供である。しかし、どうやったら、子供のときにあんなに弱かったものが、年をとってから大いに強くなれるだろう。人はただ思いつきの内容を変えるだけである。すべて進歩によって改善されるものは、同じく進歩によって滅びる。すべてひとたび弱かったものは、決して絶対に強くはなりえない。『彼は成長した、彼は変わった』と、人がいくら言っても、むだである。彼はやはり同じである。」(全文)

 フロイトの思想も子供の頃の思考傾向を生涯維持するというもので、現在批判を受けているところがある。
 しかし、あながち外れてもいない所があるようにも思う。
 それは、外見を見てその個別性を強調したものか、よりそれを抽象化、一般化したものの差かもしれない。
 私の年老いた両親をみているとそう思うのだ。