110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

比較思想論(中村元著)

本書は1960年初版の岩波全書版を読む。 本書は、東西を問わず、各国、各地の思想・哲学を比較評価するための、善いガイドブックの様に思える。 著者から推測されるように、インドや中国などの仏教、ヒンドゥー教系の思想も盛り込まれ、これが西洋哲学などと…

素敵な事件だ

この事件は、おもわず笑ってしまうのだが、何かほのぼのとさせてくれる(永久保存版)。 旅行中のカップル、ナビ誤入力で到着地は650キロかなた 7月28日、伊カプリ島を目指していた旅行者がGPSへの誤入力で650キロ離れたカルピに到着していたことが…

機械の現象学(阪本賢三著)

本書は岩波書店「哲学叢書」1975年刊行のもの。 こういう、当時としては高価な書籍が、現在安くなっている。 時代性などを考えると、読んでも無駄というものもあるかもしれない、しかし、その中に潜む(思考の)普遍性などに出会うと、思わず嬉しくなること…

「善さ」の構造(村井実著)

本書は講談社学術文庫1978年刊行のもの、私は1995年14刷版を読む。 「善さ」(良さ)とは何かということを追求していくもの。 確か、プラトンの「メノン」だったと思うが「徳とは何か」を追求した手法に、幾分似ているところがあるように思った。 そうそう、…

アリストテレスがGMを経営したら(トム・モリス著)

本書は1998年ダイヤモンド社刊行のもの。 まぁ、こんな本もあったんですね、という類の本。 30歳代までは、ビジネス書をよく読んでいたので、たまたま、その時の本を整理したときに、題名が面白そうだったので取っておいたもの、何気なく、突然読んでみた。 …

文明が衰亡するとき(高坂正尭著)

本書は1981年刊行の新潮選書版。 文明、国家の衰亡・滅亡についての考察。 出てくるのは、ローマ帝国、ヴェネツィア、アメリカの3国、そして、最後はそれが日本に投影されないかという考察。 最初の2国については、塩野七生氏の著作と重なる部分があり興味深…

地獄の思想(梅原猛著)

本書は1967年中央公論社刊行のもの、私は、1983年初版の中公文庫版で読む。 仏教の思想(哲学)は、明治以降、恣意的に忘れられてきたのだが、その根底にある「地獄」という事を、本書では思索していくのだ。 第一部では、釈迦から親鸞までの、いわゆる仏教…

競争社会をこえて(アルフィ・コーン著)

本書は法政大学出版局1994年初版のもの(オリジナルは1986年)。 本書は、良く古本屋で見かける、隠れた良書なのだろう。 さて、本書は特に教育現場を意識して著されたもの「協力学習」という用語からそれをうかがい知る事が出来る。 現在は(も)競争社会で…

構造改革の真実(竹中平蔵著)

本書は日本経済新聞出版社2006年刊行のもの。 私は政治に無関心であったが、最近、経済問題に絡めて、何か自分なりの仮説を考えてみたいと思って試行錯誤している。 その中で、竹中氏の行ったことというのに興味を持った。 それは、現在、竹中氏がどのように…

家族の政治学(R.D.レイン著)

本書は1979年みすず書房刊行のもの。 最初は家族と言うのが、一つのユニットとして、精神病の孵卵器という位置づけかと思って読んでいったが、最後は、私たちの言葉に刻印された「徴」についての批判であった。 言葉というのは不思議なもので、つい無意識の…

政治学入門(矢部貞治著)

本書は1951年弘文堂「アテネ新書」として刊行されたもの、私は1977年初版の講談社学術文庫版を読む。 本書は、政治学の入門書だ。 読みやすく、わかりやすく、そして薄い。 それでも十分だった、本当に良い本は気づかないだけで眠っているのだ、そのせいか、…

若きウェルテルの悩み(ゲーテ著)

本書は新潮文庫版で読む。 現在から見ると・・・いや、私の視点から見ると、本書に描かれている、それぞれの人間が<強い>様に思う。 それは、自惚れのように見えるし、現在より、実存的な時代だったという事なのかもしれない。 しかし、詳説全体の印象は、スマ…

都議選

都議選が終わった。 結果はご存知の通り。 今回の投票は難しかった。 自民党でも民主党でもない、そして一応それなりの力のある候補者に投じたかったからだが・・・。 さて、今回の結果を見て、全く関係のないかつての「雪印乳業」の事件を思い出した。 社長の…

ものの考え方(O・S・ウォーコップ著)

本書は1951年刊行のもの、その後1984年講談社学術文庫版で出版された。 本書を知ったのは、笠信太郎著「論理について」に書かれてあったからだ。 それから、探し始めた。 講談社学術文庫で刊行されていたことは、すぐにわかった。 その後、都内の古本屋はか…

アメリカの保守とリベラル(佐々木毅著)

本書は講談社学術文庫(1993年初版)のオリジナル。 本書では、アメリカの1970年から1990年、丁度クリントン政権誕生(1992年)までの、保守とリベラリズムの政策観、そしてその理論の変遷を批評する。 さて、差し迫って、都議選、そして衆議院選と選挙が続…

生きものの建築学(長谷川尭著)

本書は1981年平凡社刊行のもの、私は1992年初版の講談社学術文庫版を読む。 学問の交差するところには面白い視点が生まれると思う。 本書は建築学と生物学というような学問の交差点上にある。 いや、<建築>と言うだけでも、自然科学的な、例えば構造計算の様…

二十一世紀の資本主義論(岩井克人著)

本書は2000年筑摩書房刊行のもの、私は、2006年初版のちくま学術文庫版を読む。 岩井氏の本は、何故か見つけると読んでしまう。 内容的には、毎回貨幣論を中心とした、資本主義経済の考察なのだが・・・・。 そして、本書でも変わらないスタンスであり、本当に二…

難しい事件だ

この事件は奥が深い。 いわゆる自転車について言えば、「公道」を走る時には、 ※違法でないこと(歩道上での優先権、携帯電話の禁止、無灯火等・・・) ※マナーが悪い(特に、複数で走る時に、身近な友達が(心理的に)大事なので、他人にしわ寄せをしてしまう…

「責任販売制」

最近の出版業界はある意味危機に瀕していることは確かです。 しかし、私は、殆ど新しい本を買いません、古書ですませています。 そんな私が、「本をたくさん買いましょう」などと言う権利はないです。 ただ、良書にめぐり合ったら、それを保存することを考え…

土居健郎さんの死

また一人知識人を失った。 残念だが仕方のないことなのだろうか? 氏のご冥福をお祈りいたします。 <訃報>土居健郎さん89歳=精神分析医、「甘え」の構造 7月6日2時30分配信 毎日新聞 「甘え」概念の提唱で広く影響を与えた精神分析医の土居健郎(どい・…

二つの大聖堂のある町(高橋哲雄著)

本書は1985年筑摩書房刊行のもの、私は1992年初版のちくま学術文庫版で読む。 本書は、丁度出版当時のイギリスの社会や文化に関するエッセイであり、既に25年以上経っているものだ。 そういう面では、現在のイギリスとはまたかけ離れたところがあるかも知れ…

CAMEL

ふとしたことから「YouTube」で、CAMELの映像を見ていた。 なんと、あの名曲「ice」があるではないか・・・・(その他もろもろも)。 Andy LatimerのGuitarは良いなぁ、つい最近、Jeff BeckのDVDを見て、上手い(神業)と思ったので、比べてしまうけれど、Andyは…

日本のことばとこころ(山下秀雄著)

本書は1979年講談社より刊行された、私は、その後1986年に初版の講談社学術文庫版を読む。 日本語にまつわる著書は多いのだが、本書は、日本語の教師として、外国人を指導する経験を持つ著者が書いたもので、外国語・外国人と言う、他者の視点から日本語を分…

内面への亡命(R.ジャガール著)

本書は1980年誠信書房刊行のもの。 この著作が刊行された頃から、社会が分裂症的な状況であるとよく言われるようになった(最近聞かなくなったが?)、精神分裂症ならば、世界崩壊のイメージがあったので、私的にはイメージしずらかったのだが、本書を読んで…

PLUTOが完結

PLUTO(浦沢直樹著)が完結した。 作品のクオリティについては文句はない。 しかし、何故、機械(ロボット)に、本来人間がしなければならない事の(身)代わりをさせるのだろう・・・そこが、引っかかった この感想は、ほんの少し前に、他のアニメ作品を見てい…