110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

地獄の思想(梅原猛著)

 本書は1967年中央公論社刊行のもの、私は、1983年初版の中公文庫版で読む。

 仏教の思想(哲学)は、明治以降、恣意的に忘れられてきたのだが、その根底にある「地獄」という事を、本書では思索していくのだ。
 第一部では、釈迦から親鸞までの、いわゆる仏教者としての「地獄」を、第二部では、源氏物語から太宰治までの文学の中に読み取れる「地獄」を考察している。

 「地獄」とは何か?
 その存在は、伺う事ができないが、その原因は、この場所(世界)にあるのではないだろうか?
 そして、それは、その人の精神性によるものだと思う。

 それでは、精神論などを信じない人には、地獄はないのか?
 ・・・・ある。
 「信じない」は「信じる」の、反対に位置するだとするならば、それは、精神性についての二項対立であろうから。
 
 そうすると、もとより精神論の概念自体が無い人がいれば、その人に「地獄」は無い。