110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

檸檬(れもん・・・梶井基次郎著)

私は新潮文庫版を読む、今年の最後に本書が出せるのは嬉しい。 ただし、本書は梶井氏の作品20編を集めたもの、その中でも表題作「檸檬」は秀逸である。 「檸檬」は、本当に短い小編だから、立ち読みしても良いのではないかと思う。 そして、得した気分になっ…

時間と存在(大森荘蔵著)

本書は青土社刊行のもの。 「時間と自我」という大森氏の著作は、良く古本屋でお目にかかるのだが、本書はなかなか発見するのに苦労した。 さて、本書でも哲学や自然科学の根本的な見方について批判している。 それは、ゼノンのパラドックスに関わる「点時刻…

私の嫌いな10の言葉(中島義道著)

本書は2000年新潮社刊行のもの、私は、新潮文庫版で読む。 実は、中島氏の書籍は当初余り好きではなかった。 哲学者が、現在の少数派に媚びているではないかと思ったのだ。 そして、本書で「嫌いだ」とされる言葉を、私は良く使っていることに気づく。 しか…

忘れてはならないこと

最近、景気が悪いという事が言われている、当然景気の循環(特に実体経済)局面なので、免れ得ないところであるという事は言えるだろう(金融がそのサイクルを歪めている様に思うのだが)。 また、年内から余りその後退局面を強調するのは少し早急だと思う。…

薄明のなかの思想(埴谷雄高著)

本書は1978年筑摩書房刊行のもの(ちくまぶっくす1)。 埴谷雄高氏に興味があり「死霊」は、少しずつ読んでいるところだが、本書は、著者の思想を伺うには丁度良い作品であると思った。 文庫本化されているかと思ったが、ちょっと調べたところ残念ながらない…

鉄砲を捨てた日本人(ノエル・ペリン著)

本書は紀伊国屋書店1984年刊行のもの、私は1991年中公文庫版を読む。 鉄砲伝来後、戦国時代に掛けて、急速に日本の鉄砲技術は進化した。 ところが、それが、戦国時代の終わりから、江戸時代になり、その進化した武器(銃)を捨てて、旧態的な刀の文化に後退…

ヤスパース(草薙正夫著)

本書は、牧書店「世界思想家全書」うちの一冊1965年刊行のもの。 何故、ここに上げたのか、その理由は、本書がヤスパースの思想を易しく示すことを目指した好著であるとともに、今はヤスパースという人の哲学が語られることは少ないとはいえ、このような、良…

オリエンタリズム(E.W.サイード著)

本書は、1986年平凡社より刊行されたもの、現在は平凡社ライブラリー版で読める。 オリエンタル(東洋)という言葉・概念が西洋により恣意的に創られ、利用されたという立場で、その内在する権力(志向)を批判的に表した著作。 サイードの著作の中では一番…

雨月物語・春雨物語(上田秋成著)

本書は、円地文子氏による現代語訳、河出文庫版(2008年)を読む。 本来は、原書を読むほうが良いのだろうが、恥ずかしながら、(昔の)日本語が良く読めないのだ。 だから、現代語訳で読んだ気にさせていただいた。 (ちなみに、「海辺のカフカ」のカフカ少…

陰翳礼賛(谷崎潤一郎著)

本書は、中公文庫版で読む。 表題の「陰翳礼賛」を含む五編の小編集で、昭和10年前後の(「客ぎらい」だけは昭和23年)作品で、当時の、谷崎潤一郎という視点で見る、日本(人)論という趣がある。 およそ、70年前の世の中の見方が、現在と大きく違うことが…

津田左右吉歴史論集

津田左右吉氏の歴史関連の論文を、今井修氏が編集したもの、これは岩波文庫2006年版を読む。 明治、大正、昭和とこの3つの時代をまたぐ形で、歴史に携わった著者の、その歴史についての基本的な考え方が伺える著作。 現在の感覚とは随分異なるところもあるが…

マキャヴェッリと『君主論』(佐々木毅著)

本書は講談社学術文庫版1994年版を読む。 マキャヴェッリの君主論は、以前岩波文庫版で流し読みをしたことがある、また、塩野七生氏は、マキャヴェッリについて好意的に評価していた事を思い出す。 本書は、前半が「マキャヴェッリの生涯と思想形成」という…

エロティシズム(ジョルジュ・バタイユ著)

バタイユの名著、私は1973年の二見書房版を読んだが、現在はちくま学芸文庫版で読める。 さて、何と言って良いのだろう? たぶん、80年代から90年代のバタイユのブームで語りつくされているのではないだろうか? そして、バタイユの語るような方向に、哲学・…

日本ではオジサンがファンになる?

Gyaoを何気なく見ていると、「100万ポンドの腕を持つ」アコーステックギタリストNewton Faulknerというのがあり、何気なくライブを見た。 確かにうまいよなぁ・・・伴奏や曲つくりが良いよねぇ・・・・ と、思っていたら、最後にクイーンの「ボヘミアンラブソティ」…

雄羊(ジャック・デリダ著)

本書は2006年ちくま学術文庫版。 2003年にハイデルベルク大学で行われた、ハンス=ゲオルク・ガダマー記念講演を収録したもの。 パウル・ツェランの詩を、解釈しながら、既に故人となっている、ガダマーとの対話を続ける著者の思索が著されている。 デリダの…

知性はいつ生まれたか(ウィリアム・カルヴェイン著)

本書は、少し前に紹介した「サイエンス・マスターズ(草思社)」の第8巻目、1997年間刊行のもの。 脳の構造の簡単な概論は、前回取り上げた「脳が心を生みだすとき」を読んだで、おぼろげながら、人間の脳は「化学コンピュータ」ということに妙に感慨を持っ…

柔らかい個人主義の誕生(山崎正和著)

本書は1984年中央公論社刊行のもの、私は、中公文庫版で読む。 本書、そして、少し前にここに上げた、「演技する精神」、そして、大分前に上げた「社交する人間」には、共通して「社交」という概念がある。 そして、「社交」というのは、山崎氏のキーワード…

臨床の知とは何か(中村雄二郎著)

本書は岩波新書版1992年刊行のもの(リサイクル書籍)。 発刊の時代性もあるのだろうが、脳死やインフォームド・コンセントと言った、医療に関する考察がテーマになっている。 そういう面では、古いイメージを持つが、内容を見ると、特に前半で「共通感覚論…

TOYOTA IQ

TOYOTAのIQの、TV-CFを見ていて、昔の、いすず、ジェミニのCFを思い出した。 ・・・そんな、年齢になったんだなぁ、と思った。

脳が心を生みだすとき(スーザン・グリーンフィールド著)

本書は1999年草思社刊行の「サイエンス・マスターズ」の11巻目。 1994年に著者が(英国)王立研究所のクリスマス講義などをもとに、(その当時の)脳についての研究成果の一部を一般の人にも分かりやすく理解してもらうと言う趣旨で執筆されたもの。 はや、1…