110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

柔らかい個人主義の誕生(山崎正和著)

 本書は1984中央公論社刊行のもの、私は、中公文庫版で読む。

 本書、そして、少し前にここに上げた、「演技する精神」、そして、大分前に上げた「社交する人間」には、共通して「社交」という概念がある。
 そして、「社交」というのは、山崎氏のキーワードのひとつであることも間違いないだろう。
 そして、その思想に共感を覚えて、なおかつ、実行ができる人は「社交」をすることをお勧めする。

 上記3冊を読んでいて、
 何故、20年の時を過ごした上で「社交する人間」という著作が現れたのか?
 という事をふと考えた。

 本書では、ボードリヤールの消費社会という考え方について批判し、それは生産(中心主義)の裏返しの概念であり、誤った考え方だとする。
 そして、残念なことに、この誤った考え方が、現在も進行しているのではないか?
 
 そこには、21世紀に入り、哲学書(風)の題名を持った「社交する人間」という著作が生まれたのではないのか?
 
 私的には、この「社交」という考え方のうちに、何か、語られていない仮説があるのではないかと思い、特に、このボードリヤール氏を批判した「消費社会」の部分は、幾分丁寧に読ませてもらったが、余り釈然とはしなかった(まぁ、その程度の理解力ではあるが)。

 そして、結論は、先ほど述べたとおりだ。
 ただし、「悟り」とは言わないが、「社交」ができる人は、選ばれた人であると思う。
 その選ばれた人は「社交」を行うことができる。

 残念ながら、私に(現在のところ)その資格はなさそうなのだ。