110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

史観・宰相論(松本清張著)

本書は、文藝春秋、1980年刊行のもの。 明治以降の宰相についての著者の考察であり、本書を読むと、日本の政治は官僚を柱として成立しており、この著作が刊行された後も現在まで、本質的な(政治)変革はなされていないのではないかと思う。 いや、官僚制を…

歩く人たちのカリスマ

残念だ、歩く人のたちのカリスマだったと思う。 俳優の地井武男さん死去 映画やドラマで名脇役として活躍した俳優の地井武男さんが亡くなりました。 所属事務所によりますと、俳優の地井武男さんが29日朝、都内の病院で心不全のため亡くなりました。70歳…

哲学概論(務䑓理作著)

本作は岩波書店昭和33年刊行の物。 西田幾多郎氏の哲学概論の裏に本作の書名があったので入手した、また、講談社学術文庫に「哲学十話」という作品もある。 この哲学概論では四つの問題を取り扱うとする、それは「世界(客体)、主体、認識、実践」である。 …

名人(川端康成著)

本書は新潮文庫版で読む。 前回、ライトノベルにも見るべき作品があると書いた手前非常に恥ずかしいのだが、本作を読むとそれを撤回しなければならないようだ。 この短編を読むと、その文章というものの力を思い知った気がする。 川端氏と(前回で紹介した)…

ランジーン×コード(大泉貴著)

本書は宝島社「このライトノベルがすごい!文庫」のもの、ライトノベルなのだ。 まさか、この年でライトノベルにはまるとは思わなかったのだが、本書は、ライトノベル的な要素とともに、ウィトゲンシュタインやレヴィ=ストロースというそういう方面のキーワ…

記号の呪縛(有馬道子著)

本書は勁草書房1986年刊行のもの、副題として「テクストの解釈と分裂病」とあり、つい先日やっと読み終えた「自己・あいだ・時間(木村敏著、ちくま学芸文庫)」と関係がありそうだなと思って読む。 結論としては、本書にも木村氏の「前夜祭的意識」という言…

ここに本当の空を(小台三四郎著)

本書は、1966年九州文学社刊行のもの。 地方劇団「青鞜座」を主催した著者の、その遍歴を著したもの。 度重なる運営資金の持ち逃げや、団員の脱退などにもめげずに、着々と地歩を築くその姿は感動的である。 本書を読んでいて、少し、対場は違えども「人形劇…

だれが「本」を殺すのか(佐野眞一著)

本書は新潮文庫版で読む。 古本をもっぱら読んでいる私はこの「殺す」側の一人だが、それでも、本の行く末には興味がある。 しかし、本書さえも古本で読むとなると、明らかな確信犯と言える。 本書を読んでみると、現在も続く書籍の低迷・低落に関する原因は…

芥川文芸の世界(吉村稠・中谷克己著)

本書は明治書院昭和52年刊行のもの。 本書は、芥川龍之介の作品を年代をおいながらその思考の変遷をたどっていくもの。 それは、芥川の中心思想をエゴイズムとし、その捉え方の変化、すなわち、エゴイズムへの寛容的な立場から、今度はそれの否定へ、そして…

ピンククラウドはどうなるのだろうか?

惜しい人を無くした、ご冥福をお祈りします。 <訃報>ジョニー吉長さん63歳=ロックドラマー 毎日新聞 6月4日(月)16時30分配信 ジョニー吉長さん63歳(じょにー・よしなが<本名・吉長信喜=よしなが・のぶき>ロックドラマー)4日、肺炎のため死去。 …

絹と明察(三島由紀夫著)

本書は新潮文庫版で読む。 全体の話の流れは、戦後の早い時期に顕在化した労働争議を取り扱ったもので、現在とは違和感のある設定となるだろう。 しかし、駒沢善次郎を旧体質、(若い)大槻を新体質と見れば、現在にも通じる視点が得られるのではないのだろ…

蘭学事始(杉田玄白著)

本書は岩波文庫版で読む。 この版は本文よりも注釈と解説の方が長いのだ、ただし、その苦労した分は、蘭学事始や解体新書(ターヘルアナトミア)という題名に関しての面白い話題を知る事になったので、全く無駄という訳ではない。 本書を読むと、いままでに…