110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

知覚の現象学(M.メルロ=ポンティ著)

本書は、法政大学出版局(叢書ウニベルシタス)版で読む、他の翻訳としてみすず書房版もありこちらがいささかメジャーかもしれない。 みすず書房版は2分冊で少し私にとっては高価だったので、法政大学版を選んだ。 ただし、読む労力は大変なことに変わりはな…

ものづくり

昨日、TVを見ていて日本の復権には「ものづくり」なる言葉が出てきた。 これを見ていて、その「ものづくり」は「製造業」のことなのか、はたまた、違う概念なのかと訝ったのだ。 「製造業」というのならば、日本は、ここ20年ばかり衰退させ続けている、中で…

ペスト(カミュ/デフォー著)

カミュは新潮文庫版、デフォーは中公文庫版で読む。 ・・・・という風に両巨匠の作品を比較して読んでみました、という企画をしたのですよ。 そして実際に読んでみたのですが、ご存知のように、この2作は、日本国内では「ペスト」と題名を付けられていますが、本…

尾崎放哉句集(池内紀編)

本書は岩波文庫2007年初版のもの。 俳句集である、以前はなかなかこういうものを手にする機会はなかった。 しかし、様々な本を読むことにしたときに、先入観を持たずに読むとその世界が見えてくる。 ふと、立ち読みしてみて、一度に惹かれた。 編者が池内紀…

忘れの構造(戸井田道三著)

本書は1984年筑摩書房刊行のもの、私は1987年初版のちくま文庫版を読む。 著者も高齢になり「最近物忘れがひどうなってきた」という様な、そんな話から本書は始まるのだが、意外にもなかなか奥の深い展開をする一冊である。 そもそも、忘れるということは、…

<知>と<技>のフィールド・ワーク(市川浩編著)

本書は思潮社1990年刊行のもの。 現在、新宿西口で古書展をやっているが、そこで見つけたもの。 久しぶりに市川氏の作品に巡り合ったのだ。 内容は、著者とある課題に対するキーマンとのインタビューが6編収められている。 (冒頭の2編、甲野善紀氏・・・武道家…

唯臓論(後藤仁敏著)

本書は1999年風人社刊行のものに加筆修正されて、2008年中公文庫版となったもの。 唯脳論(養老猛司著)は有名で読まれた方も多いと思う、本書は題名としてはこれに対抗するようものだが、そのような対抗的な感じは無い。 それよりも、人間や生物の身体、特…

否定的なもののもとへの滞留(スラヴォイ・ジジュク著)

本書は太田出版1998年刊行のもの、現在はちくま学芸文庫で読める(はず)。 この著者には泣かされた、基本的にラカンの認識が無いので途中で意味が飛ぶのだ・・・という話を前回にして、ラカンの入門書を読んでから読書を再開した。 本書は、デカルト、カントな…

フロイト=ラカン(新宮一成・立木康介編著)

本書は講談社選書メチエ2005年刊行のもの。 最近スラヴォイ・ジジェクの本を読んだのだがさっぱりだった。 特に「大文字の他者」や「a」などなどのラカン系記号はダメでそこはほぼスルーして読んだのがひとつの原因のようだ(根本的な原因が潜んでいるかもし…

恥を捨てた日本人(三戸公著)

本書は未来社1987年刊行のもの。 この著者については以前から知っていた・・・私の卒業した大学の教授であったのだ。 しかし、ゼミに参加することも無く漫然と大学生活を過ごした私にとっての著者は、面白い講義、面白い教授というそのイメージだけであった・・・・…

池袋古書館が閉店します。

久しぶりに覗いてみようかと思って行ってみると、6月20日付けで閉店だそうです。 そういうわけなので、ただ今、販売価格が3割引になりますので名残を惜しみつつ行ってみては如何でしょうか? 池袋古書館 豊島区西池袋1-20-5(池袋西口よりほど近いところにあ…

幸福論(寺山修司著)

本書は角川文庫版で読む。 本書の初出はどこにも書かれていないのだが、文中に著者が34歳という記述があることから昭和45年(1970年)ごろの作品であると思う。 冒頭に「アランの『幸福論』などくそくらえ!」とあり、やはりこの人は鋭いのだと思う。 ちなみ…

ボードレール(ヴァルター・ベンヤミン著)

本書は岩波文庫版「ベンヤミンの仕事」というシリーズものの2巻目にあたる。 (文庫の初版刊行は1994年) 本書には、6つの作品が収められている。 それは「フランツ・カフカ」「複製技術の時代における芸術作品」「カフカについての手紙」「ボードレールにお…

忘れられない国会論戦(若宮啓文著)

本書は1994年刊行の中公新書版。 鳩山(元)首相が辞任に追い込まれ、菅首相に変わった。 それとともに民主党の支持率が上がった。 私は、政治の上で、何か不思議な事が起こっているように思った。 それは、政党が支持されているのか、政治家個人が支持されて…

タイム・マシン(H・G・ウェルズ著)

本書は岩波文庫版で読む。 表題作の他9編を含む短編集だ。 私は、子供の頃余り本を読まなかったのだが、誰が言ったのか「星新一のショートショートなら読めるはず・・・」という話をきっかけに少しずつ読み始めた。 本書を読んでいて、その星新一をこぞって読ん…

侏儒の言葉(芥川竜之介著)

本書は岩波文庫版で読む。 いわゆる箴言集。 本書は歩き読みしたのだが(最近、本を歩き読みする人が増えてきたようで嬉しいのだ)、「批評学-佐々木茂索君に-」を読んでいて思わず路上で笑ってしまった。 鋭いユーモアの持ち主だったのだと感心したのだ。…

2010年5月までの累計

2010年5月までの累計は、 30,595,155歩で、進捗率は76.5%となります。 今月は気候もよく歩数も伸びました。 もう少しで月間80万歩というところでしたが無理せずに抑えました。 6月は梅雨に入ると歩数が伸び悩むかもしれないので対策(といっても雨中でも歩く…

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(マックス・ヴェーバー著)

本書は岩波文庫版で読む。 あわせて「宗教改革と近代社会(大塚久雄著)みすず書房昭和39年四訂版)もご紹介しておきたい。 本書は名著だ、もうそれで良いのではないかと思う(本書を既読の方も多いでしょ)? ちなみに、本書は読みにくい、本文に匹敵する注…