110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

忘れられない国会論戦(若宮啓文著)

 本書は1994年刊行の中公新書版。

 鳩山(元)首相が辞任に追い込まれ、菅首相に変わった。
 それとともに民主党の支持率が上がった。
 私は、政治の上で、何か不思議な事が起こっているように思った。
 それは、政党が支持されているのか、政治家個人が支持されているのか、それが判らなくなってきたのだ。
 支持率だけを見ると、端的に鳩山氏が嫌悪された様に覗えるが、果たしてそういうことなのだろうか?
 それはこの先を冷静に観察するほか無いことなのだろうが・・・・

 さて、本書は戦後の国会討論(論戦)のうちから、著者が重点を置いたものを12種類解説を交えて紹介したものである。
 本書の刊行年度からお分かりのように最近のものは無いが、それでも「憲法」「自衛権」「安保」など、鳩山由紀夫氏の躓きの石のひとつである「普天間基地問題」・・・すなわち国防、自衛の問題に関する討論も含まれており、政治の現在性とともに、歴史性について少し考えてしまうところがある。
 その「普天間問題」も、沖縄の住民感情・歴史性・差別的待遇も、もちろん重要なことだと思うのだが、国家=防衛という、どの政治学の著作にもあるような(自国家の)根本問題について(それが当たり前すぎるからなのか)、議論が出ないことを怪しんでいるのだ・・・そして、政府側の言い分も「アメリカとの約束があるから・・・」などという第三者的な理由が出てくるのはいかがなものなのだろうか?

 そんなことを踏まえつつ本作を読むと、国会論争にもいろいろな事件があったことがわかる。
 国会は、そして、与野党間は、単純な対立状態ではない・・・・そんな当たり前のことに気づくことになるのだ。