110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

個人と社会(オルテガ著)

本書は白水社刊行「オルテガ著作集5」1969年初版のもの(私の読んだのは1978年の第4刷)。 池袋で古本の販売があったので、何気なく見ていると、オルテガ著作集がバラで売っていた。 まぁ、全部集める必要もなかったので、あるだけ買った。 線引きされている…

パイドン(プラトン著)

本書は岩波文庫版で読む。 本書は、ソクラテスが死の直前に行った対話という設定になっている。 そこで交わされたのは、魂というものの不滅性だ、そして、正しく哲学する者は死を恐れてはいけないという趣旨のものだ。 実は本書は読むべきか悩んだ、現代の視…

シュリーマン旅行記 清国・日本

本書は1990年新潮社から刊行されたもの、現在は講談社学術文庫版で読める。 1865年にシュリーマンは1ヶ月ほど日本を訪れていた・・・江戸時代の(本当の)末期だ。 いかに、お金持ちであるとはいえ、一人の一般人が、なんとまあ無謀なことだと思う。 しかし、意外…

天才の心理学(E.クレッチマー著)

本書は岩波文庫版で読む。 天才と言われた人のうちに潜む精神障害を考察した本。 天才が天才であるためには、その人の持つ精神病が影響しているという論理だ。 本書では、精神病のうちに潜む要因として、器質や遺伝について指摘がある。 さらに、ある限られ…

オイディプス王(ソポクレス著)

本書は岩波文庫版で読む。 ギリシャ悲劇やホメロスの叙事詩などは、良く哲学・思想系で比喩的に取り上げられたりする。 また、そういう意味で参照が多いのが聖書だ。 だからと言うわけではないが、本作を読む。 以前、時系列的には逆になるが「アンティゴネ…

文学部唯野教授(筒井康隆著)

本書は岩波書店1990年刊行のものを読む、現在では岩波現代文庫版で読める。 筒井氏の作品をここで読むとは思わなかったが、本書は、よく著されている。 やはり、ベストセラーを書く人は只者ではないと思う。 小説という形式でありながらも、書中での、唯野教…

「いき」の構造(九鬼周造著)

本書は、岩波文庫版で読む(他に2編含まれている)。 「いき」という言葉は残っているが、残念ながら「いき」な人は少なくなったのではないか。 本書でも、例えば「地味」と「派手」の相反する要素の微妙な均衡の上に「いき」が或るとしている。 そうであれ…

ファウスト(ゲーテ著)

本作は岩波文庫版で読む。 古典や名作と言われているものには、興味が無かった・・・ここ数年前には。 それは、既に古くなったものだという先入観があったからだ。 30代までは、ビジネス書をよく読んでいた。 そこにも古典というものはあったが、概して、古いも…

著したものの検証

たまたまWebを見ているとこんな記事に出会った。 『日本の製造業に忍び寄る「2009年問題」の影---設備投資の失速に抗えるか』 これは、日経ものづくりのブログで 2006/04/19の日付がある・・・3年ほど前だ。 2009年に、工作機械、自動車、情報家電(TV)などの…

プロタゴラス(プラトン著)

本書は岩波文庫版で読む。 本書は、プラトンの初期の著作ということだが、当時のソフィストの頂点に立つプロタゴラスとソクラテスが議論すると言う、わくわくする設定だ(私の古臭いイメージでは、刑事コロンボが犯人と知的な対話をしつつ追い詰めていくと言…

無常(唐木順三著)

本書は筑摩書房、筑摩叢書1965年初版のものを読む。 本書では、王朝期に女性文学で用いられた「はかなし」を端緒に、その後、武士の時代に男性により用いられた「無常」という言葉について考察を進めたもの。 私は、とんと歴史的なものに関して弱いのだが、…

饗宴(プラトン著)

本書は岩波文庫版で読む(ちなみに100円であった・・・喜ぶべきか悲しむべきか)。 本書はプラトンの最高傑作と言われている。 そう、ここで議論されるのは「エロス(愛)」だ。 ソクラテス=プラトンの考える「愛」について知りたい方は本書を読むということに…

2009年5月9日の歩き

今回も羽村の堰まで歩いたのだが、今回のポイントは2つ。 ,い弔發蓮峇勅掘廚鯑邁爾靴董崑膰供弩鮑硬世ら国道20号を利用して「日野橋」に至るコースを使うのだが、本日は「とある古本屋」を物色しようとしてルート変更した。 それは、大原交差点を直進するの…

事件の解釈とは

このような事件についてどう判断するかは難しいところです。 例えば、感情的になって全ての責任を取らないと判断する人は性急にすぎますよね。 ここでは「刑事責任はないと信じている」と言っているわけです。 表題を読むと、この記事を書いた記者の視点(思…

狂人日記(ゴーゴリ著)

本書は岩波文庫版、表題作以外に「肖像画」「ネフスキイ大通り」の2編を含む。 狂人を、題材にするのはなかなか難しいところがあるだろう、確かに目を引くのだが、そこで話が停止してしまう危険性がある。 本書の作品は、大なり小なりその狂気を扱っているの…

カフカ(ジル・ドゥルーズ/フェリック・ガタリ著)

本書は、法政大学出版局(叢書・ウニベルシタス)1978年初版のもの。 ドゥルーズは苦手だ、良くわからないのだよね。 だから、最後の宇波氏の解説でわかったつもりになるのだ。 しかし、本書の内容は、理解できないながら面白く読んでいた。 カフカの著作に…

2009年5月2日~3日の歩き

久しぶりに、歩きの記録を上げます。 このところ、GWはつつじを見るために少し長めの歩きをしていました。 そう、群馬県館林市にある「つつじが岡公園」です。 しかし、今年は少しだけ距離を伸ばして「あしかがフラワーパーク」まで行きました。 その入口の…

神経症(V.E.フランクル著)

本書は、みすず書房1961年刊行の、フランクル著作集4,5巻にあたるもの。 刊行時期と私の生年が同じだとは感慨が深い。 本書は、実存分析という手法を利用する、著者の神経症に関する考察だ。 実存、そして実存主義という言葉は、今日あまり聞かなくなったが…