110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

「いき」の構造(九鬼周造著)

 本書は、岩波文庫版で読む(他に2編含まれている)。

 「いき」という言葉は残っているが、残念ながら「いき」な人は少なくなったのではないか。
 本書でも、例えば「地味」と「派手」の相反する要素の微妙な均衡の上に「いき」が或るとしている。
 そうであれば「いき」とは、一見矛盾のある概念の緊張の上にあるのではないだろうか。

 ・・・そう、だから現在では「いき」が減ってきたのであろう。

 例えば、以前の経済学なら「インフレ」と「デフレ」は相互に影響して均衡を保っていた、しかし、現在は「デフレ」はダメなのである(そうだ・・・個人的には納得していないのだが)。
 そうすると、この対象は崩れることになる、すなわち「インフレ」の中で、量的に「多い」「少ない」に変化したのだ。

 ・・・すなわち、細かく、矛盾する項目も含めた総合が忌避されているのではないかと思うのだ(一見、論理的になったということでしょう)。
 日本は、こういう変化を純粋に受けてしまったではないか・・・と思ってるのだ。

 さて、本書は哲学書なのだが、その「いき」の自然的表現としての「湯上り姿」の表現に、正にのぼせてしまった。
 こんな不謹慎な読み方もたまには良いのではないかと思った。