110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

滅びのチター師(軍司貞則著)

本書は1982年文藝春秋社刊行のもの、私は文春文庫版で読む。 チターという楽器があり、これを有名にしたのが「第三の男」という映画である。 実は、この映画は見たことが無かったので、見てみた(現在は、パブリックドメインというカテゴリーなので安価に入…

ルバイヤート(オマル・ハイヤーム著)

本書は1949年初版の岩波文庫版(1986年第32刷)を読む。 11世紀、ペルシャの科学者・哲学者、そして詩人でもある著者(万能な人、ダ・ヴィンチのような人だ)の、4行詩(ルバイヤート)を集めたもの。 本作は、こんなときに読むとしっくりくる。 世の中の、…

生命科学(中村桂子著)

本作は1975年講談社サイエンティフィックから刊行されたもの、現在は講談社学術文庫版で読める。 「ライフサイエンス」という言葉が流行った時期が確かにある。 そして、現在も生物、とくに人間に有利な生物学の発見は注目される(ビジネスになるということ…

現代心理学(ジャン・ピアジュ著)

本作は、ユネスコの『社会学と人間科学の研究の主要動向(1970)』の第三章として出版されたものを翻訳したもの、福村出版1981年刊行のもの。 ピアジュの目から見た心理学についての見解だが、私は、心理学と精神病理学の区別をつけていないことに気づいた。…

好き?好き?大好き?(R.D.レイン著)

精神分析医であるR.Dレインの詩集、本書はみすず書房刊行のもの。 詩集とはいえ、精神分析医のものなので、多分に精神に関するものが多い。 対人関係などに悩んでいるなど、少し、気が滅入っている時などに読むと、なんとなく引き込まれてしまう詩篇に出会う…

ユング心理学入門(河合隼雄著)

本書は培風館1967年初版刊行のもの(手元のは1999年第47刷)。 心理学について、少しまとめて読書をしてみようと思った(いつまで、継続するかはわからないけれども)。 先だっては、「精神分析(土居健朗著)」を読んで、次は、ユングの入門書という形で推…

裸のサル(デズモンド・モリス著)

本書は河出書房新社刊行のものを読む、現在は角川文庫版で読めるようだ。 裸のサルとは人間のこと、副題にもあるように「動物学的人間像」に関する著作だ。 初版は1969年、40年も前の本だが、これが結構楽しく読める。 人間(様)と言っても、他の動物と変わ…

無意識と精神分析(ジャン-ポール・シャリエ著)

本書はせりか書房、1988年刊行のもの、ちなみに翻訳は岸田秀氏だ。 前回に続き、精神分析ものが続いたが、最近心理学的な方面に興味の重点が移っているのかもしれない。 そして、前回も書いたが、この精神分析の考え方も、やはり最近の脳生理学などの見解か…

精神分析(土居健郎著)

本作は1956年に「現代心理学大系」第10巻として共立出版より刊行されたもの、現在では講談社学術文庫版(1988年第1刷)で読むことができる。 本書はフロイトの精神分析についてわかりやすく解説している。 精神分析については、現在の精神医学で実際に利用さ…

現代日本人の恋愛と欲望をめぐって(岸田秀・竹田青嗣著)

本書はKKベストセラーズ1992年刊行のもの。 17年前なのでもはや表題にある「現代」に該当するとは言えないと思うが、対談する二人に興味があったので読んでみる。 内容は、恋愛論として「現代日本人の恋愛と欲望」「男と女のスレ違いを考える」、自分論とし…

ゴータマ・ブッダ(早島鏡正著)

本書は1979年「人類の知的遺産3」として講談社より刊行されたもの、私は1990年刊行の講談社学術文庫版を読む。 本書は、随分寝かせておいた本だ。 本ブログが「歩く」ことを中心にしてはじめたのが、最近は「読書」のブログになってしまった感があるが、丁度…

理性の不安(坂部恵著)

本書は勁草書房刊行のもの(第1版は1976年) 副題に「カント哲学の生成と構造」とあり、カント哲学生成に関する思想の変遷を追いかける。 批判哲学として著名な著作の前に著された「視霊者の夢」「オプティミズム試論」や「人間学」という大学での講義内容な…

盲人はつくられる(ロバート・A・スコット著)

本書は1992年東信堂という出版社から刊行された、私はリサイクル書籍として入手した。 元になる著作は1969年に刊行されているから、随分古めかしいという印象を受ける。 そして、本書の解説にもあるが、本書の題名から類推して、盲人に関連する人々、ご当人…

古本を探しながら歩く

ここのところ、歩く方の記録は殆ど上げていません。 それは、あまりお金も掛けずに、充実して歩くことにしているからです。 そしてコースは、大きく2つあり、 ①自宅から羽村堰を経由して拝島駅(帰りの電車代360円) ②自宅から、小金井公園を経由して、小平…

死霊(埴谷雄高著)

本書は少し変わった読み方になった、まず、「死霊(1976)」で、1~5章、そして、単独の「死霊第6章」を読んだ後、講談社文芸文庫版「死霊掘廚如7~9章(絶筆)を読んだ。 普通の人は、講談社文芸文庫版「死霊機銑掘廚覇匹爐里適当だろう。 まさに、20世紀に…

日輪・春は馬車に乗って(横光利一著)

本書は岩波文庫版で読む、著者の初期短編など8作を収めたもの。 この頃、岩波文庫でも緑版を手にする機会が増えてきた、それだけ日本の文学を読むことに興味を持ってきたのだろう、そして、それは私の心境変化であり、いわゆる無常ということなのだろう。 さ…

哲学ってどんなこと?(トマス・ネーゲル著)

本書は1993年初版で昭和堂という出版社から刊行されている。 副題に「とっても短い哲学入門」とあるように哲学の入門書であり、本作の中には哲学者の名前が一人も出てこないのが特筆。 しかし、なかなか奥が深い話題がそろっている。 以下、表題を列記すると…

ポトスライムの舟(津村記久子著)

本作は「番外編」である。 文芸春秋に掲載された今年の芥川賞受賞作なのだ。 ご存知の方は、少しニヤリとするわけだ。 感想としては、面白い作品だなという印象を受けた、作中、名前(固有名)がついているのは女性だけであるという徹底振りも興味深い。 そ…

夢の精神分析(エーリッヒ・フロム著)

本書は、東京創元社1971年刊行(改定新版)のもの。 表題のように、夢の精神分析について、フロイト、ユングそしてその中間(フロム)と3者の立場で解説するという前半と、神話やギリシャ悲劇、カフカの小説などを題材に、そこに著されている人物像をもとに…

現代言語論(立川健二・山田広昭著)

本書は新曜社「ワードマップ」シリーズの中の一冊、1990年刊行のもの。 1990年と言えば、すでに20年近く前になるのだが、本書を読んでいる私には全然古さを感じなかった。 それだけ私は、古い思想の範囲を泳いで(読んで)いるのだろう。 そこには、現代の思…

時間とは何か(伏見康冶・柳瀬睦男編)

本書は1974年刊行の中央公論社「自然選書」の中の一冊。 時間論については、哲学や文学者が取り上げることが多いような気がするが、本書は大半が物理学の教授・助教授からなる、時間に関する短い論文(エッセーか)と、討論会の記録になっている。 本書は、3…

プラグマティズム(W.ジェイムズ著)

本書は1906~07に講演されたものであり、プラグマティズムとは、アメリカ的な思考(志向)方法のひとつの典型とされている、そして、著者はその思想の中心的な人物とされている。 私は、1957年初版の岩波文庫版(2007年第40刷)を読む。 アメリカの地位は20…

人形の家(イプセン著)

名作というものは敢えて読まなかったが、最近は年甲斐も無く読むようにしている。 本書は、岩波文庫版で読む。 ほんの少し前に話を「聞かない男、地図を読めない女」という本を上げたが、本書は、その悪しき実践テキストであろう。 まさに、本作では、男脳、…

2009年2月までの累計

2009年2月までの累計歩数は、20,008,697歩で丁度50%の達成率になります。 完歩までは、今までのペースで続けても約3年掛かります。 これからも、体調、特に足に気をつけながら、いきたいと思います。 細く長くというやつですね。

狂暴なる霊長類(J・A・リヴィングストン著)

本書は法政大学出版局「叢書ウニベルシタス」1997年刊行のもの。 一言で言うと、ナチュラリストによる人類の告発であり、最近の私の考えもそちらに寄っていることを自覚させられた。 そして、そこには難しい問題がある。 いわゆる自己言及という形式による難…