110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

精神分析(土居健郎著)

 本作は1956年に「現代心理学大系」第10巻として共立出版より刊行されたもの、現在では講談社学術文庫版(1988年第1刷)で読むことができる。

 本書はフロイト精神分析についてわかりやすく解説している。
 精神分析については、現在の精神医学で実際に利用される機会は少ないと思うが(その要因は本書にも書かれている)、他の分野への影響、例えば、哲学・思想・文学・・・等は計り知れないと思う。
 私も、そういう思想系の書籍をある程度読みすすむにつれて、フロイトの影響の広さ、そして、その思想を知るということが、避けて通れない障壁であることを思い知ることになる。
 確かに、現在から見ると、明らかに間違っていると思われることや、その思想体系の弱点を指摘する人、批判的な著作も多いことだろう、しかし、そういう事を考慮しても、その思想は現在まで生き残っているのは事実なのだ。
 そのことを考えると、フロイトの思想の根本的な強さというものについて、考えてみる必要があるのかもしれないと思ってしまった。

 そういうわけで、今度は、フロイト自身が語る精神分析を知りたくなったのだ。