110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

パイドン(プラトン著)

 本書は岩波文庫版で読む。

 本書は、ソクラテスが死の直前に行った対話という設定になっている。
 そこで交わされたのは、魂というものの不滅性だ、そして、正しく哲学する者は死を恐れてはいけないという趣旨のものだ。

 実は本書は読むべきか悩んだ、現代の視点からすれば、相当に荒唐無稽な部分があるからだ、特に最後の宇宙論は飛ばしてしまいたくもなる。
 そう、そうゆう偏見の眼を持ってしまえば、ソクラテス=プラトンの思想も茶番に終わってしまうだろう。

 しかし、それでは本書など、プラトンの対話篇が何故に残っているのか?

 そこには、やはり現在でも越えられない理解(理性)の壁があるからなのだと思う。

 善や美の定義は難しい、いや現在では、完全に相対化されていると言っても良いのかもしれない。
 しかし、そんな事とは関係なく「善い」とか「美しい」と思ってしまうことがあるのは事実だ。

 そして、そのような基本的なことを、真剣に考えた(本書の様な)本があれば、一度読んでみるのも良いのかもしれない。

 ・・・でも、10年前にはこんなことは考えなかったな。