110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

個人と社会(オルテガ著)

 本書は白水社刊行「オルテガ著作集5」1969年初版のもの(私の読んだのは1978年の第4刷)。

 池袋で古本の販売があったので、何気なく見ていると、オルテガ著作集がバラで売っていた。
 まぁ、全部集める必要もなかったので、あるだけ買った。
 線引きされているので、そこそこの値段で手に入れられたと思う。

 それで、意外とこういうものは読むのが大変だ、時間を作って一気に読むが、なかなか、思ったようには行かない。
 昨日が誕生日だったので、記念にその日のうちに読もうと思ったが、やはりずれ込んでしまった。
 
 内容は、社会というものを形而上的に捉えると言うものだ。
 社会と言うものは動的に作られている、まさに言語の様に。
 そして、言語の様に、その根本は慣習的なものだ。
 ということは、意外に社会というものの土台・根底が、虚ろなものだという話になる。

 そもそも、社会は、ある種の抽象化だ、そこに、個物が入り込まされているので、窮屈だ。
 という事になりそうだ。

 その抽象的、仮想的な世界に適応できる人は良いのだが、なんとなく、個物の私としては居心地が悪い。
 夏目漱石の、草枕の冒頭を思い出した「智に働けば角が立つ・・・・」
 なんとぴったりなフレーズなことだろう。