110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

箱男(安部公房著)

 本書は新潮文庫版で読む。
 最近、小説を読むようになった、どちらかというと戦前生まれの著作者が多い。
 
 本書の書名については前か知っていたが、実際に読むのは始めてである。
 イメージとしては、いわゆる、心身二元論のようなものを考えていた。
 箱は新しい体、中の人は、ホムンクルスの様なものかと思ったが、残念ながら違ったようだ。
 箱男は、異形であった。

 この世にありながら、この世から排除されるもの。
 中からは見つめることができるが、外からは見つめられないもの。

 しかし、それだけではなく、箱の中には又別の世界にもつながる道もあるようだ。

 それは、いわゆる内観であるのか、それとも形而上的なものなのか?
 著者が、そこで何を見つけたのかは、分からないのだが、現在の世界に重なるような、別世界のようなものがあるのかもしれない。

 氏の著作は、現世界にありながら、現世界を引き剥がすような感覚を与えてくれるようだ。