110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

カフカ(ジル・ドゥルーズ/フェリック・ガタリ著)

 本書は、法政大学出版局(叢書・ウニベルシタス)1978年初版のもの。

 ドゥルーズは苦手だ、良くわからないのだよね。
 だから、最後の宇波氏の解説でわかったつもりになるのだ。

 しかし、本書の内容は、理解できないながら面白く読んでいた。
 カフカの著作には、動物ものと、機械ものと、官僚制度(社会機構?)ものがあり、動物ものはそこで完結し、官僚制度ものは未完で終わる。
 そして、本書の副題のとおり、カフカはマイナー文学だった(生前は殆ど著作は発表されなかった)。

 既に、かつて読んだ内容は相当忘れているけれど、城などの長編は、その非現実感とともに、何か、得体の知れない現実感(矛盾している)を感じるのだ。
 そう、それは、カフカが社会というものを、ものすごくリアルに描いたからではないのだろうか・・・と思ってしまうのだ。
 いつまでも終わらない手続きの連続、しかも、未完で終わってしまう。
 現実の社会も、今のような閉塞感のある状況を見ると・・・「そのとおり」と思ってしまう。
 いつまでも進まない政策、後手に回る対策、その目的は次から次へと変更される。
 そして、新しい段階(手続き)が組みこまれる・・・或る意味再帰的に。

 何故、未完なのだろうか。
 本書では、欲望が、そのストーリーの動機であることを指摘している。
 それなら、もうひとつ、消費社会=欲望。

 そういう目で、カフカ(特に長編)をもう一度読むと・・・・うーん。