110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

だれが「本」を殺すのか(佐野眞一著)

 本書は新潮文庫版で読む。
 古本をもっぱら読んでいる私はこの「殺す」側の一人だが、それでも、本の行く末には興味がある。
 しかし、本書さえも古本で読むとなると、明らかな確信犯と言える。
 
 本書を読んでみると、現在も続く書籍の低迷・低落に関する原因は、当時とあまり変わっていない様に思う。
 すなわち、版元、流通、書店、そして読者のそれぞれが、それぞれなりに「緩慢に殺して」いくのだ。
 内容は、本書を読めば良い事だが、私見では、現在オンライン系の書店はアマゾンの一人勝ちだと思うのと、本書内で脅威とされたBookOffの店舗内でも、活字本の占める割合が減ってきている様に思う。

 本の凋落その穴埋めはどうすればよいのか、読むという行為が消えるのかとなどいう疑問もあるが、なによりも、長い時間を掛けて作られる(べき)本が(少なくとも)一般に流通しなくなる可能性があることに恐怖を感じる。
 読みやすさを目指した本はやはり長く残らない、長く残せる本をどれだけ確保できるかが課題なのだと思うのだ。

 それと並行するように、いわゆる古典(岩波文庫など)も、古本屋でどんどん値崩れしているようなのだ。

 まぁ、私はそんな偉そうなことを言えた義理ではないのだが・・・それでも、心配だ。