アラブの歴史(フィリップ・K・ヒッティ著)
本書は講談社学芸文庫版で読む。
本書の内容は勿論面白いのだが、古本の場合予期せぬ蔵書印が押されていることがあり、それだけで買ってみようという気になることがある。
しかしながら、上下2巻1500ページを超える本書はなかなか手ごわく、記録を見ると、上巻は2017年、下巻は先ほど読み終わったところだ。
話は戻るが、件の蔵書印とはこうだ「統合幕僚学校蔵書」、”もしかして盗品?”とも思ったが、あくまで私は「善意の第三者」ということでBookOff購入したわけだ。
しかし、アラブの歴史なんて、IS国の台頭していた時代背景から統合幕僚学校にはふさわしくも、一般人は読むか・・・と思うとBookOffにポツンとあったのが分かるような気がする。
ご多分に漏れず、入手後ほどなく上巻を読むまでは頑張ったようだが、長く下巻は積んであった。
しかしながら、ここに来て読書スピードが遅くなったことを自覚し、それならば、なるべく読みづらそうな本から読むことに宗旨替えしたので、数年越しの読了ということになったのだ。
ところが、その面白そうでないアラブの歴史(上巻は既に忘れているので下巻の内容ね)が面白かった。
現在の西洋、そしてアメリカがあるのも(維新後、西洋、アメリカの影響を受けた日本も当然例外ではない)このアラブの国々のお陰であることが歴史的に読めるのだ。
歴史は残酷な面もある、そういう恩恵を受けながら、現在のアラブ諸国は政治的に不安定性を帯びている、アラブ諸国間の駆け引きもあろうが、西欧、アメリカなどの介入もあり、ある面では恩を仇で返されている側面も否定できない。
日本も中国からの影響を多大に受けているにも関わらず、今は今のことと割り切って日中間のことを考える風潮があるのは、本書のアラブと西欧の関係を見る様で、少し寂しい気がする。
IS国という負のイメージはあるのだが、世界史としてみてもアラブ諸国、そしてイスラム教の影響は大きいので、機会があれば、もう少し他の本にも当たりたいところではある。