110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

陰翳礼賛(谷崎潤一郎著)

 本書は、中公文庫版で読む。
 表題の「陰翳礼賛」を含む五編の小編集で、昭和10年前後の(「客ぎらい」だけは昭和23年)作品で、当時の、谷崎潤一郎という視点で見る、日本(人)論という趣がある。

 およそ、70年前の世の中の見方が、現在と大きく違うことがわかる。
 そして、現実に、70年間を生きる人間は存在する。
 そこには、大きな溝が横たわっているのかもしれない。

 そういえば、昔を思い出すと、名残かもしれないが「陰翳」があったようだ。
 今は、少なくとも、一般的には、全然無い。

 それだけ、当然のことながら、文化が変化しているのだ。
 厠は、水洗でなく、タイル張りは風情が無いという感覚をどう思えるだろうか(?)

 多分、政治などもそうなのだろうな・・・・・