110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

オリエンタリズム(E.W.サイード著)

 本書は、1986年平凡社より刊行されたもの、現在は平凡社ライブラリー版で読める。

 オリエンタル(東洋)という言葉・概念が西洋により恣意的に創られ、利用されたという立場で、その内在する権力(志向)を批判的に表した著作。
 サイードの著作の中では一番読みたかった本だが、なかなか大分な分量で読むのは難儀した。

 さて、その東洋の中に、日本は入るのだろうか?
 一時期、東洋思想というと、日本を中心考えられていた著作もあったが、その実、日本は、東洋と言っても辺境(極東)で、また、文化的にも独特なものがあるのではないか?
 もとより、本書でも「オリエンタル」と一般的に定義できないと記されていたように、余りに多様化しているように思う。
 しかし、そういう事を考えた上でも、敢えて、東洋・西洋と区分したときに、日本は地理的には東洋の中に入る、しかし、(明治以後)その思想的なものはどうか?
 
 日本は、地理的に東洋の圏内だが、思想的には西洋を目指し、西洋からは、あくまで東洋と見なされているのではないか?
 それは、日本自体の歴史的な行動に、その一因もあるのではないだろうか?
 「和魂洋才」という言葉がそれを表してはいないか?

 そんなことを考えてしまった。