110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

アメリカの保守とリベラル(佐々木毅著)

 本書は講談社学術文庫(1993年初版)のオリジナル。

 本書では、アメリカの1970年から1990年、丁度クリントン政権誕生(1992年)までの、保守とリベラリズムの政策観、そしてその理論の変遷を批評する。

 さて、差し迫って、都議選、そして衆議院選と選挙が続くが、本書はそういう事を考えるのに丁度良いテキストになりそうだ。

 アメリカもつい最近再び躓いたのだが、それと同時に日本も不況の状況になった、そして、今回の状況は、この先に余り良いシナリオを描けそうにない。
 そういう深刻な停滞期は、アメリカにもあった、それは1980年代のことだ。
 その後、アメリカは、奇跡的に復活したのだが、既に以前の力はなくなっているようだ。

 さて、それは日本にも襲い掛かっている、状況は(私的判断だが)当時のアメリカに表面上良く似ている。
 政治不信が表面化し、政党内でも分裂が起きる、財政面では赤字が急増し、有効な手段が見出せない。
 更に悪いことに、我が日本は、ご存知の通り資源はなく、国土は狭く、人口は多く、いわゆる、幾つかの指標でレーダチャートを描いてみると、歪な形になる国なのだ。
 すなわち、総合的な評価として「日本が世界のトップになること(素質)はない」と見られているのだ。
 
 さてどうしよう、アジアの覇権は、程なく中国に移るだろう(既にそうかもしれない)。

 そのときのためのシステムを用意する必要があるのではないか?
 そう、落ち目は、さらに叩かれるのだから。

 そんな事を考えると、ここで政治家に茶番を演じてもらう様な余裕はないのではないのか?
 いや、それが、没落の兆しなのかもしれない。