迷路(野上弥生子著)
本書は、岩波文庫版で読む。
私の読書で小説を読むことは少なかったのだが、最近少し増えていく傾向にある。
それは、読みにくい文章、例えば哲学などが、一概に高尚なものではないと気づいたからでもある。
小説を読んで底に深いなにものかがあると感じるのはとても嬉しい時でもある。
さて、本書は大作である、読むのには決意がいる(私のごとき者には)、しかし、読みにくい本ではない。
大正デモクラシーから昭和恐慌、そして、15年戦争というまさに疾風怒濤の時代に生きた主人公を追いかけつつ、著者の目で見た時代性を捉えいくというもの。
そのための目線を得るためには、本書の主人公のような人物設定が必要なのだろうなと思った。
さて、本書は名作である、だから、読んでよかったと思う、私が手に入れたのも1987年改版第6刷と、多数の人がこの本を読んだ事をうかがわせる。
そして、著者は、やさしい展開をする、菅野省三、稲生多津枝、江島宗通など、本書に登場し、さらに第二次世界大戦後生きられないと思われる人たちを亡き者としているのだ。
死よりも生が尊いなどいう考え方は、そこに、なんら裏づけがなければ正しいだろう、しかし、人間には拭い去れないもの、生活というものがこびりついているわけだ。
だから、そういう点で見ると、生きながら亡霊と化すよりは、そこで消滅したほうが良い場合もあろう。
本書は、小説であり、登場人物は、当然実在の人間ではない、しかし、そんなことを考えてしまったのだ。
私の読書で小説を読むことは少なかったのだが、最近少し増えていく傾向にある。
それは、読みにくい文章、例えば哲学などが、一概に高尚なものではないと気づいたからでもある。
小説を読んで底に深いなにものかがあると感じるのはとても嬉しい時でもある。
さて、本書は大作である、読むのには決意がいる(私のごとき者には)、しかし、読みにくい本ではない。
大正デモクラシーから昭和恐慌、そして、15年戦争というまさに疾風怒濤の時代に生きた主人公を追いかけつつ、著者の目で見た時代性を捉えいくというもの。
そのための目線を得るためには、本書の主人公のような人物設定が必要なのだろうなと思った。
さて、本書は名作である、だから、読んでよかったと思う、私が手に入れたのも1987年改版第6刷と、多数の人がこの本を読んだ事をうかがわせる。
そして、著者は、やさしい展開をする、菅野省三、稲生多津枝、江島宗通など、本書に登場し、さらに第二次世界大戦後生きられないと思われる人たちを亡き者としているのだ。
死よりも生が尊いなどいう考え方は、そこに、なんら裏づけがなければ正しいだろう、しかし、人間には拭い去れないもの、生活というものがこびりついているわけだ。
だから、そういう点で見ると、生きながら亡霊と化すよりは、そこで消滅したほうが良い場合もあろう。
本書は、小説であり、登場人物は、当然実在の人間ではない、しかし、そんなことを考えてしまったのだ。