110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

近代日本の心情の歴史(見田宗介著)

 まず、『定本 見田宗介著作集』全10巻『定本 真木悠介著作集』全4巻が、岩波書店より刊行との事です。

 さて、本書は講談社学術文庫版で読む、例によって100円の知識だ。
 流行歌を通してその時代の人々の心情を捉えようとする、正に副題にある「流行歌の社会心理学」という目的で著されたものだ。
 そして、本書は特殊な本であるともいえる、なぜなら、著者が触れているように、社会心理学の目指すところはそれほど簡単に達成されることではないからだ、それは(悪いたとえで恐縮だが)個々人の需要を集計することで市場の傾向がつかめるという経済学の理屈にも匹敵する幻想ではなかろうか?
 とはいえ、本書のアプローチは何か好感が持てる、厳密に考えてしまえば欠点はあろうとも、流行歌とその時々の社会の間には何らかの関係があることは間違いなさそうだからだ。
 本書で「怒り」「かなしみ」「よろこび」等々のカテゴリー分けされた、さまざまな流行歌の歌詞を追っていくと確かに浮かび上がってくる何か(感情)がある。

 そんなことで得たのが、三波春雄が歌う「チャンチキおけさ」の悲しさであった。
 (引用したかったのだが、著作権があるとかで・・・)
 その当時の人にはすぐ分かる曲だったのだろう、軽快な曲の中には、それと反対の気持ちが潜んでいたわけだ。