110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

科挙(宮崎市定著)

 本書は中公新書版で読む。

 多数の知識人に中公新書のお勧めのものをアンケートした結果を見たことがある、その中で本書を選んだ人が多かったのだ。しかしながら、この著者と題名から察するに「難しい本ではないのか」という予測が浮かび、そんな難しそうな本をどうして皆が取り上げるのだろうという興味があった。
 そういうわけで、本書を探していたのだが、意外に入手ししずらかったが、とうとう入手することができたのだ。
 早速読むと、これは面白い本だ、もし、目にしたら少し読んでみると良い。

 科挙という中国のシステムを通して、日本の受験地獄にその関係性を投影するところなどは、実際の検証は難しいかろうが、秀逸な見解であると思う。
 科挙のシステムにも良いところが散見する、それは、高齢者に対しては評価を甘くして、合格しやすくすること、そして、高齢者の合格者には、実際に実務に就けないことが前提としていながらも、一つの名誉として官職を与えるということ、このシステムは、人間というものを真摯に把握しているように思うのだ(今後の高齢者社会にとって一つの指標でもある・・・・現在は、逆行しているように思う)。
 弊害は、まぁ官僚制の問題点へとつながるということであろう。

 その科挙のシステムも既に無く、本書を悪引用すれば、その影響を受けて受験地獄から官僚・大企業システムを確立した日本という社会環境もどんづまっている。
 さて、その後に来るものは何か?
 なんていう、もやもやした問題提起をしてみる。