110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

手品師の帽子(安野光雅著)

 本書は昭和51年堂心社刊行のもの、私は新潮文庫版(昭和60年初版)で読む。

 本書を目にしたのは、昨日BOOKOFFの105円コーナーであり、すごく気持ちが落ち込んでいた。
 それは、私の両親が老い、たった一瞬の事件でその生活が不自由になる様を見たことだ。
 そして、本日も、田中好子さんの訃報を目にして、自分がそういう死と生の境界に踏み込んできたという(まさに)不安を感じた。

 そんなときの気散じは、童話が良い。
 それも子供子供している童話ではなく、大人もなんとなく読めてしまうものが良い。
 だから、本書を見つけたとき思わずつかんでいた。

 本書は、余り世の中の教訓的なことを意識しなくて読める。
 ただただおかしく読めばよいのだ。
 そう、立ち止まると変な世界に入り込みそうななので、どんどん読む。
 読んで少しの間だけ世の中のことを忘れるのだ。
 
 それにしても、理数系の芸術家にして著作家の作品群は、やけに面白いのだ。