110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

日本はなぜ敗れるのか(山本七平著)

 本書は野生時代という雑誌に1975年から1976年にかけて連載されたもの、私は、角川oneテーマ21版で読む(2004年初版)。

 本書のテーマは第二次世界大戦で日本は何故敗れたのかを、著者自身の体験を元にした見解とともに、小松真一「虜人日記」(ちくま学芸文庫版で読める)に掲げられた「敗戦21ヵ条」に基づいて分析していくと言うもの。

 本書は2読になるが、これは、先日の大地震で崩れた書籍の中にたまたまあったこととともに、本書の内容がその大地震の現在も継続中の災害対策、危機管理に(よもや)該当しないかという直感に基づく。

 小松真一は技師であり、軍に懇望されてフィリピンでアルコール(燃料)を製造する工場を建てる命令で赴任するのだが、当初の情報とは異なり、そこには、工場を運営するだけの資材が無い。
 これでは、自身の能力が実質的に生かされないので、転地もしくは帰国を申請するも、1年間は滞在してもらわないと軍の面目が立たないとして慰留させられる。
 そこで、仕方が無いので小松氏は様々な観察を行うのだが、その中に日本軍が敗戦する要素が多数見受けられたのだ。

 今回の震災の後、様々な人が被災地を訪問しているし、何か特命で専任の大臣が任命されたりしているようだが、本書にも日本軍の仕組みとしてあるように、組織図としての日本軍は完璧に機能するように考えれているが、実質的な行動については制約が多くて機能しないようなことが無いのであろうか?
 昨日、TVを見ていると、義捐金の配布について、被災地は早く支給して欲しいという要望を出したが、その配布方法について難航しているという話があった、もし、それが組織構造上の問題ならば、それは本質的に機能していない(少なくとも本件のような危機状態のもとでは)のではなかろうかと疑っている。
 さらに、そこでは、被災地の雇用を確保するために、ハローワークの対応を土日など休日に延長しているという話が出た、そこで疑問が出たのが、実質的に被災地域の復興が行われていない状況で雇用依頼があるのかどうかだ、ここで求められているのは、量ではなく質であり、単純に開設時間を伸ばすのでは職員の披露度を増すだけの無為なのではないか?・・・これは、私が被災地のことに無知だから「そんなことはない」という方もいるだろうが。

 そんなことなどが気になったので、今回の2読となった。

 結論としては、そういう遺伝子は未だ内在しているかもしれないと思うのだ。
 本書にある日本軍の体質を受け継いでいる人は、国の運営からは早期引退し、後顧を託すというのが良さそうだ。