110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

青色発行ダイオード(テーミス編集部編著)

 本書は2004年刊行のもの。

 中村修二氏が青色発光ダイオードを独力で開発したという話は以前より認識していた、それがその後訴訟になりどのように決着したかは追求してこなかった。
 本書は、その訴訟について、中村氏の貢献や日亜化学の聞き取りから、それらの開発がどのように為されたかを説明したものであり、それが、企業として、また多数の名前の知られていない技術者の協力の賜物であることを知らせる著作である。

 そして、本書は、日本的な開発(偏見かもしれないが)についての良い指針を与えてくれることだろう。
 
 私見だが、昨今、グローバル化に影響されて、英語を公用語として利用する企業が増えてきた、しかし、それよりも根本的に理工系の大卒者を増やす方がわが国にとって有効なのではないかと、本書を読んでいて思った。
 しかしながら、既に、わが国の理工系の大卒者は低下の一途を辿り、国民自体が、本来の技術的な情報を処理することができなくなっているのではないか?
 技術が関与することに対して、易しく説明しないと理解できない、そのプロセスは理解できない、結果のみしか理解できないのでは、わが国の技術者はどこに行けば良いのだろうか?

 有る意味、文系の下に理工系が置かれたような形では、理工系・製造業は衰退するだろうし、現に、技術者の流出も止まらないのではないだろうか?
 そういう意味で、技術者の立場が、欧米的か日本的なの選択を迫った本件訴訟事件は、ある意味、国の体系の分水嶺だったのかもしれない。

 文系国家でGDPを伸ばすにはどうすればよいのだろうか?しかも、わが国は輸出黒字により超過部分を得てきたのだが・・・さて、いかがなるか?