110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

生命理論(郡司ペギオ‐幸夫著)

本書は哲学書房2006年刊行のもの、養老孟司氏の著作の中に本書が「難解」だと触れられていたのに、養老氏の言葉を信じないで買って読んでみて、本当に難解な本だとしみじみと思った。

相当な脱線だが、この本を読んでいて認知症とは何かとふと考えたのだ。

例えば、本書の内容を理解できる人たちが、この世の中の大勢だとすれば、彼らは、私のことを認知症なのではないかと訝るのではないかと思うのだ。

文系の私は、この書の中の、数式もなく、一般向けにやさしく書かれたところを読んで、部分的にわかった振りはできるのだが、それこそ、認知症で言うところの「まだら」な状況なわけで、まさに、そういうレッテルを貼られてもおかしくないと思ったのだ。

だから、認知症と言って差別をすることを、みな(私も)やってしまうけれども、それは、あくまで相対的なものに過ぎないのかもしれない、と感じたのだ。

そうなると、巷によく言われる「多様性」なる言葉も、本質的には、善悪(白黒)を簡単に決めることではなく、限りなくグレーな部分も含めて認めるという事が重要なことなのだと思うので、多様性であるとかないとかいう表面的な論議(学術会議の誰かさんの見解)だけでは、いけないことだと思うのだ。

それは、とても難しいことだろうけれどもね。

さて、本書では、生きるものが、理論的には可能性なる言葉で表される無限の事象から、ある一つの選択をするのはなんでだろうか?・・・ということについて、考える機会を与えてくれる本でもある。

私は、結果として、ほとんど理解できないにも関わらず、とても面白い読書ができた、やはり、認知症なのかな(←認知症の人に失礼だな、ごめんなさい)。