110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

風の谷のナウシカ(宮崎駿著)

 本書は、ANIMEGE COMICSワイド版で読む。
 最終にして難解な第7巻ですら70刷を超えるのだから凄まじい本である。

 この著者の言葉について対談集など何冊か読んだ、完全な理論派ではなく芸術的直感、意識と無意識がないまぜになったところからあの作品が生まれているようだ、すなわち哲学者や思想家ではない。
 だから、この本に意味づけするのは困難なことだ、いや、意味づけしているのは読んでいる読者だからその意識を触発するために本書はあると言えよう。
 環境問題やアニミズム的な思想が見え隠れするが、それだけが著者の思想であるとは必ずしも言えない、そう本書は漫画であるから絵にできない思想は表現できないのだ。

 複雑な要因のからみあう中に(その中には商業主義も含まれるが)本書のような感動的な作品は生まれた。
 著者は漫画家の才能は無いと言うが、本書はアニメではなく漫画なのだ、そして、著者がアニメはダメだと言う手塚治虫の漫画の雰囲気が漂うのだ。
 
 ちなみに、憎まれ口をたたくならば「本作は第7巻を読めば良い」である。