110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

海辺のカフカ(村上春樹著)

 本書は2002年新潮社刊行のもの。
 実は、私は村上春樹の著作を読んだことがなかった。
 それが、ノーベル賞の候補などという記事を見て、なんとなく手にしたのが本書。
 表題の「カフカ」という言葉が思想的なイメージを与えたからもしれない。

 読んでみて、とても面白いと思った、本書のレビューには難解という評価もあったが、その哲学的・思想的な部分は各自の持つ知識で、独自に解釈すれば良いことだと思う。

 内容については、すでに読まれた方も多いので省略するが、一番に疑問に思ったことは「この本はどの年齢を意識して書かれたものだろうか?」ということだ。
 全体の流れから考えると、カフカ少年の15歳か、ホシノくんの20歳半ば位が妥当だと思う。
 とすれば、本書は、そのレベルの人が読むことができると、村上氏は考えているのではないか?
 
 確かに、明治、大正などの若年層はすさまじい知識欲があった、本書のカフカ少年も15歳とは思えない老成した考え方を持っている(夏目漱石をどんどん読み進めるあたりは脅威だ)。
 そうすると、本訴を難解だなどと言って、はばかって入られない。
 そんなことを考えてしまった一冊であった。