110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ソシュールを読む(丸山圭三郎著)

 本書は岩波書店1983年刊行のもの、私は第19刷1994年版を読む。
 本書は「ソシュール:『一般言語学講義』を読む」というタイトルで、1982年4月から6月まで行われた「岩波市民セミナー」の速記録を元に加筆されたもの(これは良いセミナーだったと思う)。

 丸山氏の本は何故か読んでしまうのだが、ソシュールについては、本書が一番分かりやすいような気がした。
 以前「ソシュールの思想」を読んだが、本書とは読む順序が逆の方が良かった、しかしながら、古本を探して読むという、今のスタイルでは贅沢は言えない。

 本書でも最後の2章をあてて「文化のフェティシズム」に警告を出している。
 それから、20年以上が経過し、現在に至るも状況が変わったというよりも、その状況に慣れてしまったようにも思える。

 以前は言葉の退廃について否定的に思っていた。
 しかし、普段何気なく利用する言語が社会を形成し、個人を規制している。
 一見、自由に利用できるように思われる(その)「言葉」について、再度考えてみようかとも思う。