110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

少年たちはなぜ人を殺すのか(宮台真司・香山リカ著)

 本書は創出版2001年刊行のもの、私はちくま文庫版(2009年初版)で読む。

 時代が変われば、社会も変わる、社会が変われば、人間も変わる、いや、人間が変わったから、社会が変わったのか・・・うーん、何やら弁証法の世界に立ち入ってしまったようだ。

 簡単に殺人を起こしてしまうという少年(女)たちは何故に存在するのかというのが本書のテーマで、かれこれ10年以上前に著された本書の少年少女たちは、今はもう30歳くらいの立派な社会人として暮らしているはずなのだが、その人たちは現在どうなのか、そして現在の若い人たちはどうなのだろうか?・・・などということを漠然と思ってしまう。
 でも、人を殺さないだけで、同じような(「底が抜けた」)思想の持ち主は、中高年、高齢者にもいないのだろうか?

 沖縄問題や自衛隊の問題が解決できない社会、ひいては、今後の動向にもよるのだが、東電問題などを、うやむやにしか解決できない社会を目の当たりにした、若い人(だけではないはず)がどのような思想を形成するのか、というところに何かが潜んでいる様に思うのだ。
 あからさまに存在する問題を解決することができずに、ずるずると年月を費やしていくこと、それは、大きなストレスだし、(これも比喩的に)複利計算として問題が複雑化・多様化・深刻化していくのではないかな。
 例えば、どう考えても沖縄問題は自発的には解決できないのだわ、近い将来、日本の国際間での地位が低下して、なし崩し的に(軍事的な長所がなくなる)解決するというシナリオが思い浮かぶのだけれど、これは誰も幸せではないだろうし。
 そんなことを考えているのだ。
 私も、底が抜けている人間かもしれない。