110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

異常心理の発見(クリフォード・アレン著)

 本書は角川選書1983年版、底本は1952年刊行のもの。

 精神医学の歴史を比較的易しく解説してくれる本、最終章に、訳者による補遺があり、現代との差異を補っている。

 精神医学や心理学といったものも哲学や思想に影響を与えていると思う。
 もとより、哲学的であるということも、何らかの精神的な志向によるものなのかもしれない。

 本書ではクレッチマーという学者の考え方「分裂病質」「循環病質」を紹介しているが、このうちの「分裂病質」が自分に当てはまるように思えた。
 それは、
 “鷦匕鯏、物静か、打ちとけない、ユーモアがない、変わり者
 臆病、引っ込み思案、感情が細やか、感受性が鋭い、神経質、興奮しやすい、自然書物を好む。
 従順、親切、正直、無関心、頭の回転がおそい、口数が少ない。

 △旅猝椶痢崋然書物を好む」は、余りにはまりすぎているように思えるのだが・・・・(本ブログの「歩く」と「読書」など)?

 精神病、神経症というのは、社会(他者)に相対する病気であると思う、人間が言葉を話すのは、その社会性によるものだが、その社会性にうまく適応できないのならば、ある種の障害が起こるのだろう。
 そして、それが「病」という形をとるのは、社会(他者)に影響を及ぼすがためにそう呼ばれるのだろう。
 もし、古代妄想を持つ人が居ても、その思想が実現しなければ、害をおよぼすことはないはずで、それが実現されたときに、大きな(深刻な)問題を引き起こす。
 本書では、「分裂症質」で実際に問題を引き起こした人間として、ロベス・ピエールという名前が挙げられている。

 しかし、一言で「狂気」という言葉は難しい。
 伝説の勇者たちは、あたかも周りにいる従者を、気に食わない事件が起きると、いとも簡単に剣を引き抜いて殺している。
 それは、現在では重犯罪であり、過去においては英雄の気まぐれであった。
 また、世に残る芸術作品は、多分に狂気の抽出物であったりする。

 そのような事を考えると、精神病(神経症)と言う言葉・意味合いも、世の中の変化とともに変わっているのだと思う(フーコーの「狂気の歴史」などはそれを示唆していると思うのだが)。