110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

猪・鹿・狸(早川孝太郎著)

 本書は大正15年、郷土研究社第二叢書のうちの一冊として刊行されたもの、私は講談社学術文庫版で読む。

 所沢の古本販売会で本書を見つけてすぐに手を出した、それは表題を「猪・鹿・蝶」と間違えて「こんな研究があるのか」と思い込んだからだ、そして、うちに帰って落ち着いてみると違うではないか。
 「まぁ、しょうがない」と、読んでみるとなかなか佳作であった。

 今は無き、風景・風俗を綴ったものだが、そこには現代では手に入らない「何か」があるような気がするのだ。

 そして、本書の舞台の北三河地方、長篠や鳳来寺は、今から20年ほど前に名古屋に住んでいた時分に「東海自然歩道」を歩き尋ねたところで、本書が記された大正時代の地名が、その記憶を呼び覚ましてくれたのだ(単純に懐かしかったのだ)。
 山歩きをしていて、猪に出くわしたのは、これも名古屋時代に、養老山(養老の滝でおなじみ)に冬の時期に登った時、雪に覆われた登山道に血痕が転々と続いていたので怪しんで登ったところ、山頂付近で猪が仕留められていたところに遭遇したことがある(血痕を見たときは何か事件かと思った)。
 そして、鹿は「外秩父七峰縦走」のコース(埼玉県、小川町、東秩父、寄居など)を歩いているときに、白石峠の付近で遭遇したことがあり「こんなところに鹿が・・・・」と思った、後は、丹沢の塔ノ岳の山頂で囲まれたことがある(今はどうなのだろう?)。
 狸は・・・?、意外にあちこちで遭遇するが、昨年だったか、散歩の途中、中野区鷺宮付近の学校に野生の狸が迷い込んだのを見かけた。
 猿は・・・、今回関係ないか。 

 人間は矛盾する行動をとるもので、野生動物を減少させながらもペットを飼うのだ。
 ペットの犬を避けながら歩くとき、何か、その矛盾の深まりを感じるのだ。