110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ルビコン(トム・ホランド著)

 「ローマ人の物語」の最終巻を買おうかな?と思ったら、そこにあった本。
 こういう出会いを逃すと、二度と買えない可能性があるので購入した。
 副題に「共和制ローマ崩壊への物語」とある、変な日本語だ、最近はこれでも通じるのだろうか?(英文では、「The Last Years of Roman Republic」でこちらはなんとなく判る)

 ルビコンといえば、カエサルで、このカエサルが共和制を崩壊へ導いたという事を、このタイトルは象徴的に表している。
 そして、この本では、ローマ建国後、王政から共和制になり、カエサルによりこれが崩され、アウグストゥスが皇帝制の地場を固めるまでの時期について書かれている。

 ローマ帝国に関する著作は、数多くあるらしいが、私が知っている「ローマ人の物語」と本作の大きな違いは、カエサルの位置づけと、ローマ市民の声(動き)の取り上げ方だと思う。
 それは、著作家がどこに焦点(スポットライト)を当てるかによる違いだと思うが、「ローマ人の物語」を読んで、ローマという国は凄く理想的な国家だと思った。
 ところが、本作を読むと、現代に通じる、階級格差や拝金主義といった「どす黒い」ものが前面に出てくる。
 
 これは、歴史小説が、作者の視点(思想)により、作中の人物や社会制度が、善きものにも、悪しきものにも描かれてしまうという事を示しているのだろう。
 そういう(著作物の)偏向を、どう捕らえ、そして、どう判断するかということが、非常に大事なことだと気づいた。

(最近、本を読むスピードが遅くなってきた、今年中に、あと一冊行きたいが・・・)