110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

朝鮮半島「核」外交(重村智計著)

 本書は講談社現代新書2006年刊行のもの。

 最近の北朝鮮への安倍首相の対応が人道的でないとして非難してきたが、本書を読むとまだまだ読みが甘いと思い知らされた。
 外交と言うものはつくづく難しいものだ。
 本書にも『「北朝鮮を追い詰めると暴発する」という主張がある。経済制裁論の高まりに対し、外務省のアジア局長経験者や名だたる学者たちが、こう主張した。これは、真っ赤なウソである。・・・・北朝鮮には暴発できる経済力はない。・・・追い詰められて暴発したのは、日本人である。』なるほど、その根拠とは『韓国人と朝鮮人は追い詰められても、歩いて中国、ロシアはもちろん、遠く欧州やアフリカまで行ける人たちである』うーん、少し理論的に疑問もあるが確かにそうだとも言える。

 本書の刊行から11年の時が過ぎ、北朝鮮の活動(デモンストレーション)は活発になっている、太陽の黒点活動なんて言葉を思いついてしまった。
 本書での予告どおり、核開発が実用段階に入りつつあるのだが、多分、戦争を起こすだけの資源はないだろう。
 そうすると、ひたすらミサイルによる攻撃が「起死回生の一手」として、諸外国に見せながら自国の利益を得ようとすることになるのだろう。
 2017年、または2018年というこの時期になんらかの終局を迎えるのかこれは予測できない。
 最悪なのは、軍事的な解決(?)であることだが、それすらもどういう方向になるかもわからない。
 同じく、我が国の核武装も、このところ取りざたされているが、私は現実的でないと思う。

 核エネルギーの恩恵を私たちは受け続けているのだが、これを、人類の制御下に置くという野望は時期的には早すぎたのかもしれない。