110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

名もなき家事

 久し振りに、良い記事を見つけた
 私は介護をするようになってから家事をやり始めたのだが、同居している兄を見ているとそのままあてはまる。
 いや、もっとひどい、たとえば、ゴミ箱に捨てれば、「捨てた」と思っている節がある、本当は、きちんとゴミの収集日に出して(細かいことを言えば)収集されたところで終了なのにね?
 洗濯は「しない」、でも溜まるとこちらが困るので「する」、そういうことが判らない。
 記事にもあるように、そういうことが判るということは、そういう生活(経験)をしてきたかどうかによることなのだろうね(少子化は意外とこういうところに影響があるかもしれない)。
 名がある「家事」だけを見ている(いわゆる実践したことのない理論派)人は、それを補完している「名もなき家事」が見えないのだろう(さもありなん)。
 私は、こんなことを考えている、老後に年金も含めて金銭面の心配のある人は、家事に慣れておくことをお勧めする。
 それが生活費を幾らかでも切り詰める方法の(有力な)一つだと。
 まぁ、お金もちには関係ないけれどもね(羨ましいけれどもね、こればかりは・・・ね?)。

<名もなき家事>夫はなぜ見て見ぬふりなのか?
 1/27(土) 9:30配信 毎日新聞
 「名もなき家事」「名前のない家事」という言葉が、昨年からネットやメディアで話題になっています。なぜ今この言葉が女性たちの共感を呼ぶのでしょうか。明治大商学部教授の藤田結子さんが分析します。【毎日新聞経済プレミア】

 ◇夫は「洗濯を分担している」?
 「名もなき家事」とは、「炊事」「洗濯」「掃除」とは違って、はっきりとした名前がつかない家事労働のことです。たとえば「食べ残しを冷蔵庫にしまう」「ごみ袋をセットする」「トイレットペーパーを補充する」などの家事です。
 首都圏在住の会社員、愛さん(30代、仮名)には保育園に通う5歳の息子と2歳の娘がいて、フルタイムで働いています。そして、共働きなのに夫の大輔さん(30代、仮名)が家事をしないことに不満をもっています。愛さんから見ると、家事分担の割合は妻9:夫1なのですが、大輔さんは「自分はそれ以上分担している」と言います。なぜ2人の認識は違うのでしょうか。
 まず、社会的に「イクメン」が望ましいとされていると、夫は妻よりも自分の家事参加を過大に評価しがちなことが研究からわかっています。
 次に、「名もなき家事」と呼ばれる無数の作業の存在に気づいていないことが挙げられます。大和ハウス工業が2017年5月に発表した「名もなき家事」に関する意識調査によると、男性は女性に比べて「トイレットペーパーがなくなった時に、買いに行く」などの作業を、家事とは認識していませんでした。
 大輔さんの場合、「洗濯は自分がやっている」と思っていますが、愛さんは「夫が洗濯機を回し、洗濯物を干しますが、たたむのは私です」と言います。
 「洗濯」という家事は、「洗剤を補充する」「色柄ものを分ける」「洗濯機を回す」「洗濯物を干す」「洗濯物を取り込む」「洗濯ものをたたむ」「洗濯機を掃除する」「物干しハンガーを整えておく」といった、多くの作業の総称です。
 けれども、大輔さんにとって「洗濯」とは、「洗濯機を回す」「洗濯物を干す」ことだけです。そのほかの作業は妻の愛さんがお膳立てをしていることに気がついていません。愛さんはため息をつきます。
 「夫は1人で暮らしたことがなくて、家事全般を自分でやったことがなかったからでしょう。私がいくら言ってもけんかになるので、あきらめています」

 ◇誰が時間管理をしているのか
 フルタイムで共働きの会社員、智子さんと隆さん(ともに40代、仮名)には4歳の息子がいます。隆さんはある程度家事を分担していますが、常に「指示待ち態勢」。智子さんは、隆さんが自分から動いてくれないことにいつもイライラします。
 たとえば、息子の入浴は隆さんが担当しています。夜更かししないように夜9時までには息子を布団に入れなければいけません。逆算すると、夜8時台までにはお風呂に入れなければならないのです。
 「ダメ出しされるとやる気がうせる」と隆さんが言うので、智子さんはなるべく口を出さないように心がけています。それでも、夜9時近くになってもまだテレビを見て笑っている隆さんに、「もうお風呂に入れないと寝るのが遅くなっちゃうよ!」と言わずにはいられません。
 智子さんは時間の管理だけでなく、2人が入浴中に着替えの準備もしておきます。食事作りや入浴などを隆さんにまかせても、智子さんが時間管理と下準備をしないといけないので、自分の負担が減った気がしません。常に家族のタイムキーパーをせざるを得ず、時間を忘れてぼーっと休憩することができません。
 子どもに規則正しい生活をさせるための毎日の時間管理も、「名もなき家事」といえるでしょう。社会学者の平山亮さんはこう指摘します。
 「男性が行う(名のある)家事が女性のアレンジメントに寄りかかって行われているのだとすれば、そうした(男性の家事参加増など)変化は女性の『名もなき家事』に男性がフリーライド(ただ乗り)した上で起こっているとも言えます」(「『名もなき家事』の、その先へ」勁草書房編集部ウェブサイト「けいそうビブリオフィル」)。

 ◇なぜ夫たちは「名もなき家事」をしないのか
 先の大和ハウス工業の意識調査を見ると、「名もなき家事」の存在を認識している割合が高いのは、妻の方ですが、夫と大差はありません。むしろ、夫たちの認識と実行の間に大きな差があります。実際、家事のうち9割を妻が多く負担していました。夫たちがやらない理由は、その存在を「認識していない」場合もありますが、「認識していても、しない」傾向が強いようです。
 「認識していない」のは、家事全般を担ったことがない男性は、誰かが「名もなき家事」をしなければ家庭生活が回らないことに気づいていないからでしょう。「家事は女性の役目」と思っているため、家事に関心がないこともあるでしょう。
 また、「認識していても、しない」理由は、多くの男性が平日に長時間働いていて、「食事の献立を考える」「子どもの食事を手伝う」など、「待ったなしの家事」をできないからです。
 しかし、「調味料を補充・交換する」「衣類をクリーニングに出す、取りに行く」などの作業は週末でもできます。空いた時間にできる家事さえしない男性は、性別役割分担の意識が強いのでしょう。「自分がしてもしなくても、そのうち妻がやるだろう」という気持ちがあり、つい見て見ぬふりをするのかもしれません。
 
◇共働きが増えるなか、妻の負担が減らない理由が明るみに
 なぜ今、「名もなき家事」という言葉に多くの女性が反応するのか。それは、共働き家庭が増え、多くの女性が仕事+家事+育児で一日中働き詰めになっているという背景と、「男性も家事を分担すべきではないか」という意識の高まりがあるからです。
 しかし現実には、女性に家事責任が偏ったままです。妻たちは出勤前と帰宅後に、時間が足りないと焦りながら次から次へと家事をこなしています。「洗濯」「掃除」といった名前のある家事を夫に一つ頼んでも、なぜか自分の分担が一つ減ったとは思えません。その下準備や管理が増えるからです。そのうえ、その他の作業もこなさなければなりません。
 モヤモヤと感じていたしんどさに、「名もなき家事」という呼び名を与えられ、さぞや「ハッ」としたことでしょう。
 「名もなき家事」の解決法として、在庫発注の仕組みを作りましょう、先回りして家事削減の工夫をしましょう、という女性向けの提案があります。しかし、家事のマネジメントそのものが「名もなき家事」なのですから、男性が最初から参加しないと本当の解決にはなりません。
 さらに、子どもが生まれたことで増える「名もなき家事」、つまり「おしりふきの補充」や「哺乳瓶の消毒」も、圧倒的に母親に偏っています。保育園探しの局面でも、「書類を入手して記入する」作業を母親が担うことが多いでしょう。
 男性の育児休業取得率はわずか3.16%。父親も育休を取得して、最初から育児に参加すれば、「名もなき家事」のシェアも、少しは進むのではないでしょうか。