110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

反グローバリズム(金子勝著)

 本書は岩波書店1999年刊行のもの。

 最近、アメリカの動向が明らかに変化した、それまでは、グローバリズムを掲げていたものが、TPPを離脱し、関税などの保護貿易主義を取っている。
 さすがに、グローバリズムという仕組みも制度疲労がおきるものかと思っていたら、本書に出くわした。
 驚くべきことに、本書は1999年に書かれていることだ。

 未だに、グローバリズムに流されているわが国に、こんな本があったことが驚愕であり、奥付を見ると第3刷まできていたので、当時もある程度の関心を呼んでいたことが伺える。

 まぁ、内容は探して読んでいただくとして、本書で一番感動した言葉は「弱い個人の仮定」だ、端的に言えば、未だに私たちの思考に影響を与えているであろう「自己責任」という意識だ。
 「自分で決める、ただし、その責任は自分で負う」こう書くと麗しく見える。
 果たしてそうだろうか?
 自分の力のおよばないところで、例えば、勤めていた会社がつぶれる、突然、親が倒れて介護しなければいけない、などなど…
 自己責任だから親の介護はしない、なんていう選択肢はあるだろうね。
 でもそうしたら、親たちは出費を抑えて、お金使わない方に行くよね。
 そうすれば、経済は縮小して…

 そして、この短い中にも、当たり前の様に経済合理性という考え方をしているよね。

 それでは、この国は持たないのではないかな、長くはね?
 もしかすると、私が生きている間(30年くらい)は相当ひどくなっても持ちこたえられる期待があるけれども、その先は不明だ。

 そういう時に「弱い個人の仮定」というのが生きてくるように思うのだ。

 経済(性)の枠を超えたところでどう助け合うかということなんだろうね。
 先日、県ごとの出生率が出ていたけれども、沖縄がトップなんだよね。
 経済性だけで考えると県民が狂っているみたいな判断になるかもしれないけれども、違う要素が大きいのではないのかな?