110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

超訳『資本論』(的場昭弘著)

 本書は祥伝社祥伝社新書版、超訳などというお題目がつくと、今どきの人に心地よい文章を並べるような欺瞞的なものだという先入観があるのだが、こいつは「資本論」を料理するというわけで、とりあえず読んでみることにした。
 もとより、資本論なんて終わっているという人も多かろう、「ほら、ソ連が崩壊したじゃん」なんて言えば、証明終了なんていう感じだろうかね。
 でもね、資本論ソ連とは必ずしもリンクしていないんだよね。
 そこまでは、私も理解していたのだが…

 さて、本書の評価だが、新書版という制約の中で、本当にバッサリと要約したことが幸いにも、これは良い本だ。
 私も、すっかり見逃していたことだが、「資本論」は、私たちが良いと思っている「資本主義」についての本なんだよね。
 この資本主義というヤツがとても恐ろしいので、将来的には社会主義共産主義になるんでないかい…という締めくくりをしているだけなんだよね。

 さて、本書を読んでいると、少子化対策するのも、それにしくじって、入管法を改正して、本来馴染まない移民の受け入れにわき目も降らずに突入しようとするのも、そうそう、21世紀になってから、契約社員派遣社員が増える傾向にあったのも、分かる気がするんだよね。
 
 たしかに、これだけ(資本論を)切り詰めたので「これは的場式(著者の)の資本論解釈だ」なんて意見もあるのだろうが、それでも、なんとなく私のまわりに空気の様にあって、今まで余り考えて事もなかった「資本主義」ってやつを、少し深堀して考えるにはちょうど良い分量の本だったんだよね。

 でもね、最近のAIやロボットの発展からすると、もしかすると、労働者(人間だよ)が不要として、少数の資本家だけが生き残るという、資本主義の最終形態という図式もありえるのではないかな…嫌な想像だけれどね。
 なぜなら、地球の資源は限られているからね(もしくは、宇宙に資源を求めて飛び出すかだね)。
 だから、どこかで人間は方向転換しないと、資源不足による崩壊しかないと思っていたからね。
 本書にもある「過去の蓄積」とやらが人間(労働者)をも不要にする可能性とは、天国なのか地獄なのか、難しい(考えたくない)問題だね。