110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

戦争が遺したもの(鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二著)

 本書は新曜社2004年刊行のもの。

 昭和という時代がとても遠い時代の様に思われる時がやってくる。
 そして、その昭和という時代がざっくりと戦前戦後と分けられることにあまり異論はない。
 しかし、戦後生まれとしては、どうもその戦前というヤツがここにきて気になる。
 小熊英二の本を読んで日本でのそういう歴史性のあいまいさを感じることができたのとともに、何人かの戦前から生きている知識人の名前をメモすることができた。
 その一人が鶴見俊輔だ。
 本書は、ちょうど元号が変わろうという時に発見した、一読してこれは(私にとっては)良い本だと確信した。
 他人に薦めるには日本という国のその思想の変化が激しいことや、ある種の思い入れが無いと読み切れないのではないかと思うので躊躇してしまうところはある。

 鶴見氏は本書でも天皇制を否定する発言をしている、このフレーズだけで「読まない」と判断する人がいれば、(彼とは)交差するところはない。
 しかし、本当にあの戦争のインパクトが何だったのかを、実体験はできないが、「知ろう」とする人には、その一端としてお薦めはできると思う。

 支離滅裂な感想だが、今さらながら「共同研究 転向」を読んでみたい気がするのだ。
 昭和というのは、本当に何だったんだろうね?